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新しい時代の選択肢! ChromebookとGoogle Workspaceでハイブリッドワーク環境を構築する方法ハイブリッドワーク時代のビジネスPC選定術(第3回)(3/3 ページ)

» 2022年11月02日 13時00分 公開
[Yukito KATOITmedia]
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ビジネス向けChromebookの選び方

 ここまでChromeOS搭載PCの「一般論」を交えて説明してきたが、この先は働く場所を選ばないというハイブリッドワークの特性を鑑み、「ビジネスで使うChromebookの選び方」を考えていきたい。

 Windows PCと違って、Chromebookは基本的にローカルにデータを保存しないという考え方に立っている。どこに保存するのかといえば、Googleドライブである。

 そのこともあり、Windows PCと比べるとChromebookは内蔵ストレージの容量を少なめとする傾向にある。ただし、ローカルで稼働する仮想マシンを使ったり開発業務を行ったりしない限りは、大きな問題にはならないだろう。

 今回の記事では2つのChromebookを例として取り上げるが、検討段階でChromebookを1〜2台ほど購入(借用)し、企業や組織のニーズに合致するのかどうかを実際に使って検証した上で導入するか否か、導入する場合はどのような機種を選定するのかを決定することを強くお勧めする。

HP Pro c645 Chromebook Enterprise

 日本HPの「HP Pro c645 Chromebook Enterprise」は、同社の企業向け14型Chromebookで、ディスプレイ解像度はHD(1366×768ピクセル)とフルHD(1920×1080ピクセル)から選べる。Chrome Enterprise Upgradeが付属するモデルもある。

 全モデル共にメインメモリは8GB(DDR4-2666規格)、ストレージは64GBのeMMC 5.0を備えている。CPUはAMD製で、モデルによって「Athlon Silver 3050C」(2.3GHz〜3.2GHz、2コア2スレッド)または「Ryzen 3 3250C」(2.6GHz〜3.5GHz、2コア4スレッド)を搭載する。

HP Pro c645 Chromebook Enterprise HP Pro c645 Chromebook Enterprise

 「少し貧弱過ぎるのでは……?」と思うかもしれないが、ChromeOSはWindows 10/11よりも軽量設計であるため、このスペックでも意外と快適に動作する。ただし、用途によっては力不足になる可能性もあるので、CPU性能が気になる場合はGoogle Meetの「ユーザーシナリオ」と照らし合わせて選ぶとよい

 画面共有をしながら会議に参加する場合は。4コア(4スレッド)CPUに4GB以上のメモリが1つの要求ラインとなりそうである。HP Pro c645 Chromebook Enterpriseの場合は、Ryzen 3モデルならこのラインをおおむね満たせる。

 もっとも、Google Workspaceを併用すれば、Meet以外にも協力なコラボレート機能を使える。資料は投影ではなくリンクを共有して各自見てもらうといった工夫をすれば、事務作業が中心の職種ならAthlon Silver 3050Cモデルでも快適に利用できる。

Meet Chromebookは低スペックでも快適に利用できることが強みだが、ビデオ会議で多くの機能を使おうとすると、そこそこ高いスペックを要求される。ビデオ会議の快適性を重視するなら、Google Meetの要件に合わせて機材選定をするとよい

Dell Latitude 5400 Chromebook

 デル・テクノロジーズの14型法人向けChromebook「Latitude 5400 Chromebook」は第8世代Coreプロセッサを搭載する比較的ハイスペックなモデルだ。CPU、メインメモリの容量、ストレージの容量、ディスプレイのスペック、キーボード配列、バッテリーの容量、モバイル通信(ワイヤレスWAN)……など、多岐にわたるカスタマイズを行えることも特徴である。

 法人向けストアで購入する場合は、Chrome Enterprise Upgradeを付属する構成も選択できる。

Dell Latitude 5400 Chromebook Dell Latitude 5400 Chromebook

 カスタマイズを行えるということは、業務内容に合わせて必要なスペックの取捨選択をしやすいということでもある。例えば開発業務に使う場合は、メインメモリを32GBとしておけば仮想マシンやLinux開発環境を快適に動かせる。

 極め付きは、モバイル通信に対応する構成が用意されていることで、営業職にはモバイル通信付きの個体を割り当てれば出先でも快適に仕事をこなせる(モバイル通信の契約は別途必要)。

 HP Pro c645 Chromebook Enterpriseと比べると、スペックが高くなる分1台当たりの調達コストは増加するが、ハイブリッドワークの成功のカギは利用する端末(PC)が過不足のないスペックを備えることにある。事業の成功に何が必要なのかを見極めて、それにふさわしいPCを用意することが、何を置いても重要なのである。


 ここまで、3回に渡ってハイブリッドワーク時代のPCの選び方や、ハイブリッドワークを実現するための土台をどう用意すれば良いか解説してきた。

 ハイブリッドワークを行うためには何を用意すれば良いのか、どういった基準でPCを選べば良いか、という疑問に対して本連載が少しでも役に立てていたら幸いだ。

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