12月7日(日本時間)、Appleがアプリストア「App Store」に関する発表を行った。10月5日にも価格の見直しが行われたが、今回の発表もその延長線上にある。
2008年の登場以来、App Storeでのアプリ価格はあらかじめ用意された約90種類の価格の中から開発者が選んで設定を行っていた。だが、昨今の米国でのインフレや円安などの状況を受けて、これまでで最大規模の見直しが行われることになった。
発表内容 | ||
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合計900種類の価格設定 | ||
自国通貨を中心に価格設定できる設定ツール | ||
国別指定も可能 | ||
提供時期 | |
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12月7日から | 自動更新サブスクリプションを使用しているアプリ |
2023年春まで | アプリ販売/アプリ価格 |
2023年中 | 地元通貨を中心にした価格設定など |
App Storeで販売されているアプリや、アプリ内課金、サブスクリプションなどの価格は開発者が好みの金額をつけるのではなく、Appleがあらかじめ用意した価格帯から希望する額に近いものを選んで設定する。
理由はいくつかあるが、最も重要なのはApp Storeが45の通貨を使う世界175カ国で展開していることだろう。アプリを販売する国1つ1つに対して、その国の売れ筋価格を調べるのは大変だが、Appleは異なる通貨での商品が売れやすい価格をひとまとめの選択肢として用意している。
例えばtier 1と呼ばれる価格帯を選ぶと米国では99セント、日本では160円(2022年10月4日までは120円だった)と、各国通貨での価格が自動的に設定される。この仕組みのおかげで、開発者は米ドル建てで価格設定をするだけで済んだ。
しかし、このところの米国でのインフレや円安などで、それまで安いからと思ってサブスクリプションしていたアプリが急に日本で割高になってしまうなど、こういった一元的な管理が向かない状況が出てきた。
そうした中、Appleは2008年のApp Storeサービス開始後、最大規模の提供価格の見直しを行うことになった。
これまでAppleが用意していた価格帯は、冒頭で触れた表にもあるように87種類だ。これに発展途上国用の超低価格設定や、価格がよりスッキリと見えるようにする(下二桁が00で終わる価格にしたり、90や80で終わる価格にしたりする)ためのものなどのオプションが用意される形だった。
これに対して今回、新たに700の価格帯が追加されることになり、開発者が選べる価格帯はこれまでの10倍近くにまで膨れ上がった。
新しい価格設定は自動更新サブスクリプションを使用しているアプリでは12月7日から、アプリの販売やアプリ内課金では2023年の春から提供が始まる。
円建ての価格 | ||
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価格ステップ | 最低価格 | 最高価格 |
10円 | 50円 | 2000円 |
100円 | 100円 | 1万5000円 |
500円 | 400円 | 4万9800円 |
1000円 | 800円 | 9万9800円 |
5000円 | 4800円 | 15万8800円 |
10000円 | 9800円 | 80万円 |
50000円 | 48800円 | 160万円 |
米ドル建ての価格 | ||
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価格ステップ | 最低価格 | 最高価格 |
$.10 | $0.29 | $9.99 |
$0.50 | $0.49 | $49.99 |
$1 | $0.99 | $199.99 |
$5 | $4.99 | $499.99 |
$10.00 | $9.99 | $999.99 |
$100 | $99.99 | $9999.99 |
新たに用意された700の価格帯は、開発者がこれまで通り自由に設定できる600種類に加え、リクエストがあった場合のみAppleが許可をして使用可能になる高額価格帯100種類からなっている。
Appleでは既に経済環境の厳しい発展途上国など向けに、0.29ドルから始まる低価格帯の提供を行っていたので、これと合わせると今後、App Storeでの販売に使える価格帯は0.29ドルから1万ドル、日本円の場合は50円から要望に応じて提供可能になる160万円まで幅が広まる。
100種類の高額価格帯を設定する開発者は、あらかじめAppleにその旨をリクエストを受けて審査を受ける必要がある。Appleは常にユーザーの体験を第一に考えており、これまで毎月数百円だったサブスクリプション料金が、ある月から突然毎月100万円になった、といった詐欺まがいの行為が起きないように目を光らせているし、万が一、問題と思われる行為があった場合のために、ユーザーサポート体制も整えているという。
用意された価格の概要は表にまとめているが、例えば日本円では10円、100円、500円、1000円、5千円、1万円、5万円の7種類の価格ステップが用意されており、それぞれについて最低額と最高額が設定されている。
例えば500円という価格ステップの場合は最低価格が400円、最高価格が4万9800円なので、400円、900円、1400円、1900円…、4万9800円と合計100種類の価格が選べる。
このルールだけでは、例えば2000円以上の価格は必ず末尾がx00円となり10円の単位を生かすことができないが、Appleはこれに加えたオプションとして末尾を80円、90円さらには下三桁を800円とするといった価格設定のオプションも用意する(米国ドルでは、セントの単位が0のX.00ドルという価格設定に加え、x.90ドル、X.95ドル、X.99ドルで終わる価格もオプションで選べる)。
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