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「Arm版Windows 11」を試してみたい! ならMicrosoftの「Windows開発キット 2023」はどう?(前編)(2/3 ページ)

» 2022年12月12日 12時00分 公開
[Yukito KATOITmedia]

Windows 10でArmアーキテクチャに“再チャレンジ”

 Windows RTのリリースから4年少々経過した2016年12月、Microsoftは中国の深センで開催された「WinHEC Shenzhen 2016」において、ArmアーキテクチャのSoCで動作する「Windows 10」リリースすることを発表した。

 Armアーキテクチャ向けのWindows 10は、Windows RTとは異なりx86向けに開発されたWindowsアプリ(Win32アプリ)の動作をサポートしている。これにより、極度にCPU(アーキテクチャ)に依存したり、専用のハードウェア(デバイスドライバー)が必要だったりしない限りにおいて、多くのWin32アプリを動かせるようになった。

 なお、ArmアーキテクチャのSoCは複数のメーカーから出ているが、Microsoftは開発パートナーとしてスマートフォン/タブレット向けSoCで知られるQualcommと協業している。この座組みは現在に至るまで変わっておらず、Armアーキテクチャ向けWindows 10/11が正式にサポートするのは、事実上Qualcomm製のSoCのみとなる(Microsoft向けカスタマイズSoCを含む)。

Arm Microsoftは、Arm版Windows 10をQualcommとの協業でリリースすることになった。この座組みは現在に至るまで変わっておらず、事実上「Arm版=Qualcomm版」という状況が続いている

 多くのWin32アプリが動作するようになったとはいえ、当時はアプリの64bit化が進んでおり、特にクリエイター向けアプリでは「64bit版(Win64アプリ)のみ用意する」という事例も出始めていた。

 そんなこともあり、MicrosoftではArmアーキテクチャ向けWindows 10用の「x64エミュレーター」の開発を進めた。その結果、2020年12月11日(日本時間)に公開された「Windows 10 Insider Preview Build 21277」にエミュレーターが試験実装された。

 しかし、x64エミュレーターの製品版は、Armアーキテクチャ向けWindows 11にのみ実装されることになり、Arm版Windows 10には実装されないことになった。もっとも、Armアーキテクチャ向けWindows 10が稼働するPCは、例外なくWindows 11の動作要件を満たしているので、Windows 11にアップグレードすることでWin64アプリも動かせるようになる

Windows 11にのみ実装 Win64アプリの増加を受けて、MicrosoftではArmアーキテクチャ向けに「x64エミュレーター」の開発を進めたが、製品版はWindows 11にのみ実装されることになった(参考記事

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