Windows RTのリリースから4年少々経過した2016年12月、Microsoftは中国の深センで開催された「WinHEC Shenzhen 2016」において、ArmアーキテクチャのSoCで動作する「Windows 10」リリースすることを発表した。
Armアーキテクチャ向けのWindows 10は、Windows RTとは異なりx86向けに開発されたWindowsアプリ(Win32アプリ)の動作をサポートしている。これにより、極度にCPU(アーキテクチャ)に依存したり、専用のハードウェア(デバイスドライバー)が必要だったりしない限りにおいて、多くのWin32アプリを動かせるようになった。
なお、ArmアーキテクチャのSoCは複数のメーカーから出ているが、Microsoftは開発パートナーとしてスマートフォン/タブレット向けSoCで知られるQualcommと協業している。この座組みは現在に至るまで変わっておらず、Armアーキテクチャ向けWindows 10/11が正式にサポートするのは、事実上Qualcomm製のSoCのみとなる(Microsoft向けカスタマイズSoCを含む)。
多くのWin32アプリが動作するようになったとはいえ、当時はアプリの64bit化が進んでおり、特にクリエイター向けアプリでは「64bit版(Win64アプリ)のみ用意する」という事例も出始めていた。
そんなこともあり、MicrosoftではArmアーキテクチャ向けWindows 10用の「x64エミュレーター」の開発を進めた。その結果、2020年12月11日(日本時間)に公開された「Windows 10 Insider Preview Build 21277」にエミュレーターが試験実装された。
しかし、x64エミュレーターの製品版は、Armアーキテクチャ向けWindows 11にのみ実装されることになり、Arm版Windows 10には実装されないことになった。もっとも、Armアーキテクチャ向けWindows 10が稼働するPCは、例外なくWindows 11の動作要件を満たしているので、Windows 11にアップグレードすることでWin64アプリも動かせるようになる。
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