仕事柄、筆者は新しいアーキテクチャのPCやOSを積極的に試すようにしている。しかし、Armアーキテクチャ向けのWindows 11が稼働して、かつ手に入れやすいものといえば「Surface Pro X」か、その後継モデルとなる「Surface Pro 9 with 5G」のいずれか……なのだが、いずれも実売価格が高めで、気軽に試せるものではない。
「なら他メーカーのものを試せばいいのでは?」と思うかもしれない。しかし、他メーカーのものも比較的高価格帯のものが多い上、販路が限られているケースもある。ごくまれに通販サイトで「特価品」が出てくることもあるが、せっかくなので比較的新しいモデルを試したいという気持ちもある。
その点、別途ディスプレイやキーボード/マウスが必要となるものの、Windows 開発キット 2023は「ArmアーキテクチャのWindows 11を試す」という観点において手頃な選択肢であることには間違いない。ある意味で、筆者が待望していたものともいえる。
少しおさらいになる面もあるが、このキットの主なスペックは以下の通りだ。
SoCは、レノボ・ジャパンの「ThinkPad X13s Gen 1」と同じSnapdragon 8cx Gen3が採用されている。Armアーキテクチャ向けWindows 11が稼働するPCとしては最高峰の1つといえる。
特筆すべきは、9万9980円という価格で32GBのメインメモリと512GBのNVMe SSDが搭載されているという点だ。「開発キット」というだけあって、多くの開発者の気持ちを考えてくれたのかもしれない。企業ユーザーだけでなく、中小企業や個人開発者に取ってもありがたい話だ。
Armアーキテクチャ向けWindows 11 Proだが、セットアップのプロセスや画面構成はx64アーキテクチャ向けのものと全く変わりない。しかし「タスクマネージャー」を見ると、確かにCPU(SoC)がQualcomm Snapdragon 8cx Gen3であることが分かる。また「システム」の表示でも種類に「ARM ベース プロセッサ」とハッキリと出るようになっている。
果たしてx64ビットアプリはまともに動くのか。どのくらいのパフォーマンスを発揮できるのか――実用面の話は、別の記事(後編)で詳しく解説する。今から、テストするワクワクが尽きない。
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