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性能への不満は1割未満!? MM総研が「GIGAスクール端末」の利活用に関する動向を調査

» 2023年01月24日 16時45分 公開
[井上翔ITmedia]

 MM総研は1月23日、2022年12月時点における「小中学校におけるGIGA スクール端末の利活用動向調査」の結果を発表した。調査対象は、小中学校を設置する1741自治体の教育委員会(回答数は1144、※1)と国公立小中学校の教員1200人で、文部科学省が主導する「GIGAスクール構想」の現状と課題が浮き彫りとなった。

(※1)市町村および特別区(一部事務組合や都道府県は含んでいない

「学習用端末の性能」への不満は約8%

 まず、教育委員会に「児童生徒用(学習用)端末」に対する性能への評価を4段階で尋ねた所、結果は以下のようになったという(回答数は1135)。

  • 十分備えている:38%
  • 備えている54%
  • あまり備えていない:8%
  • 全く備えていない:0%

 SNSなどでは、児童/生徒に支給された学習用端末の性能について「性能が低すぎるのでは?」という声も少なからず見られるが、小中学校を統括する教育委員会から見ると十分な性能を備えていると考えているようだ。

 学習用端末の要件は、文部科学省がOSベンダー(日本マイクロソフト、Apple、Google)と相談した上で決めたという(参考記事)。多くの懸念の声とは裏腹に、少なくとも同省が想定している使い方に準じる限りは“十分な”性能を確保できていると考える自治体が多いようである。

 一方、「あまり備えていない」とした7%の自治体は、学習用端末の性能だけでなくユーザーインタフェース(UI)面やインターネットへの接続性など、周辺機器や利用体験(UX)全般への課題も指摘していたという。

性能 学習用端末の性能に関する設問(出典:MM総研)

授業における利用頻度は増加傾向

 続けて、教育委員会に学習用端末の利用頻度について尋ねた。この設問への回答結果は、2021年10月の調査にも回答した833自治体の分のみ公表されており、以下の通りとなった(括弧内は2021年調査との比較)。

  • 毎日利用:75%(+49ポイント)
  • 週に2〜3回利用:23%(−18ポイント)
  • 週に1回未満:4%(−3ポイント)
  • その他:1%(−28ポイント)

 1年2カ月の間に、学習用端末の利用頻度は着実に高まっていることが伺える。加えて、その他(利用頻度が極めて低い、または把握できていない)と答える教育委員会もほとんどなくなったことも分かった。

頻度 学習用端末の利用頻度に関する設問(出典:MM総研)

GIGAスクールへの習熟度合いは「コラボレーションサービス」で分かる?

 学習用端末の用途数については、2021年10月の調査(回答数は1136)では平均で「1.7」だったものが、今回の調査(回答数は1144)では平均で「3.8」と、学習用端末の「使い道」が増えていることが分かった。

 用途については「学習支援ソフトやアプリの利用」「調べ学習」「考えをまとめて発表」が上位を占めていることに変わりはないそうだが、。「教員と児童生徒のやりとり」「児童生徒同士のやりとり」などコラボレーション機能の利活用が大幅に増えたという。

 なお、コラボレーション機能については、MM総研が実施した別の調査(※2)において約8割の自治体が「Google Workspace for Education」「Microsoft 365 Education」といったクラウドサービスを利用していることが分かっているという。

(※2)GIGAスクール構想実現に向けたICT環境整備調査(2022年5月時点)

用途数 学習用端末の用途に関する調査(出典:MM総研)

 今回の調査では別途、教員に対しても学習用端末の使い方を尋ねている。教員の回答と教育委員会の回答と重ね合わせて分析すると、端末を利用できている教員ほどコラボレーション機能も活用している傾向にあることも分かった。逆に、端末を利用できていない教員ほどコラボレーション機能の利用も消極的だったという。

 教員と児童生徒、児童生徒同士のコミュニケーションにおけるコラボレーション機能の利活用は、ある意味で教員のスキル次第という様子が伺える。

掛け合わせ 授業における学習用端末の利用度合いと、コラボレーション機能の利用割合の相関関係(出典:MM総研)

鍵を握る「教員のスキル」の磨き方に課題あり

 教育委員会と教員の双方に「GIGAスクール環境の利用拡大」に向けた課題を複数回答形式で聞いた所、両者ともに「教員のICTスキル」が一番の課題であるという認識では一致している。しかし、それ以外の課題については、両者で上位に挙げる項目が若干異なっている。

  • 教育委員会の考える課題(上位5項目)
    • 1位:教員のICTスキル(61%)
    • 2位:家庭にインターネット環境がない(20%)
    • 3位:教員のモチベーション、学校の通信環境の悪さ(17%)
    • 4位:児童のリテラシーやモラル不足(17%)
  • 教員の考える課題(上位5項目
    • 1位:教員のICTスキル(66%)
    • 2位:児童生徒のリテラシーやモラルの不足(38%)
    • 3位:教員のモチベーション(32%)
    • 4位:学校の通信整備状況の悪さ(29%)
    • 5位:学校のICT推進体制(26%)

 学校を管理する立場の教育委員会の視点では、家庭のインターネット環境に課題を感じているようだ。自治体によっては、インターネット環境のない家庭に対して回線付きでモバイルルーターを貸し出す事業を行っているケースもある。そのこともあって、児童生徒の自宅にインターネット回線があることが重要だと考える傾向にあるのかもしれない。

 一方で、教員の視点では家庭のインターネット環境に対する重要性はあまり感じていないようだ。むしろ、児童生徒のリテラシーやモラルに課題があると認識しているようだ。確かに、学習用端末で学習に関係のないゲームを遊んだり動画を視聴してしまったりするという声もよく聞く。学校という“現場”で直接児童や生徒と接している教員から見ると、教え子のリテラシーやモラルに対する課題感が強いのかもしれない。

課題 学習用端末の利用拡大に当たって感じている課題については、教育委員会と教員の間で若干の認識の差が見受けられた(出典:MM総研)

 教育委員会と教員で共通している「教員のICTスキル」という課題だが、「対応策が取れている」かどうかの認識も両者で異なる。教員のICTスキルに課題があるとの回答者(教育委員会は694自治体、教員は686人)を抽出して解決策を用意しているかどうか尋ねた所、教育委員会は約95%が「取れている」と答えたのに対して、そう答えた教員は約4割にとどまった。教員からすると、スキル向上策が不十分である可能性もある。

 「対応策が取れている」と回答した教員(274人)に対して対応策の内容を尋ねた所、「研修の実施」(68%)が一番多く、特に校内研修の実施率が高かったようである。「教員の学び合い/教え合い」「タブレット(学習用端末)主任を設ける」「ICT支援員を活用する」といった取り組みの他、教員の自主的な取り組みをしているという声もあったそうだ。

対応策 教員のICTスキル向上に向けた対応策を講じられてるかどうかの認識は、教育委員会と教員で認識に乖離があるようである

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