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新しいBingにみるMicrosoftのAI戦略Windowsフロントライン(2/3 ページ)

» 2023年02月07日 12時00分 公開

GPTを使った新しい「Bing」

 そのような中で、ここ数日話題になっているのが“新しい”Bingだ。以前のレポートでも触れたが、The Informationが「MicrosoftはBingをChatGPTの対話式エンジンに置き換えようとしている」と報じた話があるが、実際にOwen Yinというユーザーがこの「対話式インタフェースのBing」を先行して試すことができたと報告しており、そのレポートをMedium上に記事としてまとめている。

 正確にいうと、ChatGPTがベースにしている「GPT 3.5」をBingのインタフェースとして取り込んだ形になる。同氏のレポートによれば、今回の対話式UIのBingはGPT-3.5ではなく、2023年の早い時期にも登場がうわさされている最新の「GPT-4」がベースになっており、ユーザーの入力欄も従来の“細長”のテキストボックスではなく、最大100ワードまでを入力可能な“大きな長方形”のテキストボックスとなっている。

 ChatGPTやGPT-3(3.5)の詳細については前回のレポートを参照してほしいが、特徴の1つにあるのが「学習モデルのデータが2021年6月止まり」という点だ。

 これはGPT-3の学習モデルのベースとなる「text-davinci-003」のデータが2021年6月時点という制限からくるもので、このタイミング以降に登場した新しいデータは、概念として理解されない可能性が高い。

 同氏のレポートによれば、この新しいBingではこの制限なく最新のデータであっても検索対象になり得るとのことで、GPT-4で採用される新しい学習モデルがそういった概念を取り込んだか、あるいは検索エンジン向けに独自の追加学習が行われている可能性がある。

GPT-3で利用可能な学習モデル GPT-3で利用可能な学習モデル

 ChatGPTのように、チャットボットと対話式で検索を進めていくこともできるし、従来型のUIに戻すことも可能という。ただし、検索エンジンが一方的に情報を引き出すツールではなく、“こちらから情報を与える”ことで可能になるものがいくつかある。

 その1つが「パーソナライゼーション」で、個人ごとの検索の“クセ”や思考を検索エンジン側が理解し、学習していくことで、より目的の情報へと素早くたどり着くことが可能になる。現状の検索エンジンでもある程度は実現していることだが、検索結果自体は操作ができても、最初のキーワード入力自体は“毎回”同じ手順を必要とする。

 AIが学習した検索エンジンでは、この手順をある程度スキップすることが可能で、また検索精度を上げるために“呪文”のようなものを唱える必要もない。ChatGPTではセッションが終わると入力情報がクリアされてしまい、最初から学習し直しになったりするが、Bingなどの応用例ではこうしたこともなくなり、本来の意味での「アシスタント」としての機能を生かせるようになる。

 実際に試せていないので何とも言えないところではあるが、同氏のレポートではBingのページで新機能を試す欄にメールアドレスを入力しておくと、ウェイティングリストで順番に招待が行われると書かれている。

 ただし、このページは日本からアクセスできないようで、現状ではそのままトップページへとリダイレクトされてしまう。おそらくだが、もし本当に新しいBingがGPT-4をベースにしているのなら、これが正式公開されたタイミングで新型Bingの広域βテストが行われるようになるとみているので楽しみにしたい。

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