ArmアーキテクチャのSoC(CPU)に対応するWindowsアプリの開発を進めるべく、Microsoftがリリースした「Windows 開発キット 2023」。税込み9万9980円と比較的手頃な価格でArmアーキテクチャベースのWindows 11(以下「Arm版Windows 11」)を試せることも魅力である。
仕事柄、Arm版Windows 11の検証が必要だった筆者もこのキットを購入し、実際にベンチマークテストを敢行した。
いざ触ってみると、意外といってよいほどキビキビと動く事に驚いた所だが、あくまでもベンチマークテストである。日々の生活、あるいは一般的なオフィスワークで“実用”するアプリを試していない。
そこで、Arm版Windows 11において実用アプリは“実用”に耐えうるのか、幾つか試していこうと思う。今回は、Web会議アプリにおいて大きなシェアを持つ「Zoom(ズーム)」の動きっぷりをチェックする。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、テレワークが広がった。その際に社内外の会議/コミュニケーション手段の1つとして使われるようになったのが「Web会議」である。
COVID-19の脅威は以前として残っているものの、当初1〜2年と比べると影響は大きくない。そのこともあって、企業や組織によってはオフィス勤務に回帰する動きも見られる。一方で、オフィスにこだわる必要のない業種を中心に、オフィス勤務とテレワークを柔軟に組み合わせられる「ハイブリッドワーク」を採用する動きも活発だ。
このような社会情勢もあって、オフィス勤務回帰の有無を問わず、Web会議の重要性は衰えていない。むしろ、より増していると考えることもできる。
筆者も普段から、Zoomを使ったWeb会議を行っている。一見すると、Web会議はそれほどPCに負荷をかけないようにも思える。しかし、画面共有や「バーチャル背景」を使いながら会議をすると、想像以上の負荷がかかる。
Windows向けZoomアプリにおいて、「グリーンバックなしの画像のみのバーチャル背景」あるいは「ぼかし背景」を利用する場合の要件は以下の通りとなっている。
(※1)グラフィックスドライバーを「バージョン27.20.1640.0」以上にする必要がある
要件にQualcomm製SoCが含まれていることからも分かる通り、現行のWindows向けZoomアプリはArm版Windows 11にネイティブ対応している。ただし、Windows向けZoomアプリのリリースノートをよく見てみると、気になる点がある。
Arm版への言及がある最後のバージョン「バージョン5.7.0(2021年6月21日リリース)」のリリースノートでは、「Arm版のクライアント(アプリ)では現在、バーチャル背景をサポートしていません」と書かれている。それ以降のバージョンでは、Arm版におけるバーチャル背景対応に関する言及が見当たらないのだ。
要件側の記載にはQualcomm製SoCが加わっているが、リリースノートには記載がない――今回の検証では、Windows 開発キット 2023におけるバーチャル背景の利用可否もチェックしていくことになる。
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