ArmアーキテクチャのCPUでWindows 11はどのようなものなのか――どうしても気になる筆者は、日本マイクロソフトの「Windows 開発キット 2023」を購入した。
米Adobeの「Adobe Creative Cloud」の一部のように、Arm CPUでネイティブ動作する64bitアプリケーション(Arm64アプリ)は少しずつ登場している。しかし、現状ではWindowsアプリの多くは、IntelアーキテクチャCPU向けの32bitアプリ(x86アプリ)あるいは64bitアプリ(x64アプリ)である。Arm CPU向けのアプリにしか対応していないとなると、たちまち「アプリ不足」に陥ってしまう。
幸い、Armアーキテクチャ向けのWindows 11は、x86アプリとx64アプリを実行するエミュレーターを内包している。理論上は多くのWindowsアプリを動かせる……のだが、x86/x64アプリが「動く」ということは、「快適に使える」ことを意味するとは限らない。エミュレーションにはオーバーヘッド(付加処理)が欠かせないからだ。
そこで今回は、Windows開発キット 2023を使い、Windows 11から正式サポートされたエミュレーションによるx64アプリの動作を検証する。果たして、どこまで実用的なのだろうか……?
x64アプリの検証を始める前に、先にストレージのパフォーマンスをチェックしてみよう。
Windows 開発キット 2023には「512GBのNVMe SSD」が搭載されている。メーカーや詳細なスペックは記載されていないが、筆者の個体にはキオクシア製の「KBG40ZNS512G」が搭載されていた。
このSSDはPCI Express 3.0接続のNVMe SSD「KIOXIA BG4シリーズ」のM.2 Type 2230モジュール版の512GBモデルで、公称ではシーケンシャル(連続)読み出しが毎秒2200MB、シーケンシャル書き込みが1400MBというスペックを有する。
ストレージのアクセス速度を計測する定番ベンチマークアプリ「CrystalDisk Mark 8.0.4」は、x86、x64に加えてArm64でもネイティブに動作するようになっている。エミュレーションによるオーバーヘッドを考える必要がないという点は非常にありがたい。
ということで標準設定のまま、Arm64版アプリで速度を計測してみた。シーケンシャル(SEQ1M Q8T1)とランダム(RND4KQ32T1)のアクセス速度は以下通りだった。
ほぼ公称スペック通りのパフォーマンスを発揮できている。PCI Express 3.0接続のハイエンドSSDと比べると若干遅いと感じるかもしれないが、普段使いやアプリ開発用途であれば十分な速度を確保できているといえる。
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