ASUS JAPANは4月21日、2023年夏までに発売するノートPCの新製品を一挙に発表した。
今回、同社は親会社であるASUSTeK Computer(ASUS)の本社(台湾・台北市北投区)において、事前の製品発表会を開催した。この会の冒頭で、ASUSのジョニー・シー会長がASUSの“もの作り”にまつわる理念を説明した。
多くが知るように、コロナ禍に突入した2020年春以降は、多くの国で国境が閉ざされ、人流もほとんど途絶えた。日本のみならず、ASUSが本社を構える台湾も例外ではなく、到着後の隔離措置なしで行動の自由が許されることになったのも、つい最近の話である。
シー会長が最後に来日し、メディアの前に姿を見せたのは2019年。約4年ぶりに日本のメディアの前に現れた彼は、一体何を語ったのだろうか。
冒頭のあいさつで、シー会長はこう語った。
我々は、全てが人々のニーズや欲求から生まれるものと考えています。(製品やサービスを現実のものとするために)必要な課題を洗い出し、人々の期待を上回るものを提供するために、決して安易な道を選ぶことはありませんでした。
このことは、2020年に(新型コロナウイルス感染症の)パンデミックが発生した時においても同様で、ASUSのテクノロジーをどのように人々の役立てるのか、取り組みを続けてきました。
その回答の1つとして、同氏が挙げるのが「有機ELディスプレイ(OLED)」だ。コロナ禍で人々がテレワークによる在宅勤務を続ける中、長時間の作業を支えるディスプレイの画質が、ユーザー体験の向上に貢献したことを強調している。
今回発表されたノートPC製品群も、大多数がOLED搭載モデルとなっている。従来はハイエンドモデル中心に搭載されてきたものが、ミドルレンジモデルやエントリーモデルにまで浸透してきているのは、ASUSの取り組みがユーザーに一定の支持を受けている証左ともいえそうだ。
次に同氏が触れたのが「サステナビリティ(持続可能性)」だ。
ここ数年ほど、特に外資系のPCメーカーではサステナビリティへの取り組みを強化している。新製品発表でも、それなりの文量(あるいは時間)を割いてサステナビリティへの取り組みを説明することも珍しくなくなった。
この部分は、ASUSもご多分に漏れない。最新テクノロジーを盛り込みつつ、「気候変動対策(Climate Action)」「循環経済(Circular Economy)」「責任ある製造(Responsible Manufacturing)」「価値創造(Value Creation)」の4つに重点を置いてサステナビリティ経営に向けた努力を行っているという。
そして、シー氏が最後に取り上げたトピックが、日本市場へのメッセージだ。
ASUSのPCやスマートフォンで使われている「Zen」ブランドは、その名の通り「禅」に由来する。日本でも耳なじみのある言葉だ。なぜ禅なのかといえば、無駄を省いて真理を見出すというコンセプトに基づいている。
機能性のバランスを追求するだけでなく、製品のデザインにも禅のコンセプトは反映されている。例えば、歴代Zenbookの多くのモデルには、天板に波紋(Ripple)が刻まれているが、これは「枯山水」の波紋をイメージしたものだ。きらびやかになりすぎず、だからといって機能性のみに全振りしたわけでもない――絶妙な位置付けの設計思想が反映されている。
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