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リコーと東芝テックが「複合機」の開発/生産を合弁化へ 2024年度第1四半期をめどにコントローラーなどで差別化

» 2023年05月19日 19時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 リコーと東芝テックは5月19日、コピー機、スキャナやプリンタの機能を統合した「複合機」の開発/生産を合弁事業化することで合意した。複合機を含むオフィスプリンティング分野における競争力と事業基盤の強化を狙ったもので、2024年度第1四半期(2024年4〜6月)をめどに、両社における複合機の開発/生産事業を合弁会社に継承する。

登壇者 5月19日に行われた記者説明会の登壇者。左から東芝テックの下川司郎執行役員(ワークプレイス・ソリューション事業本部長)、錦織弘信社長、リコーの山下良則会長、大山晃社長、中田克典専務(リコーデジタルプロダクツビジネスユニット プレジデント)

合弁の概要

 リコーと東芝テックが複合機の開発/生産を合弁化する背景には、オフィスプリンティング市場が長期的な縮小傾向にあることが挙げられる。

 ペーパーレス化が進む中で、両社のプリンティング関連技術を生かしつつ、さまざまなソフトウェアやサービスを組み合わせつつ、オフィスや現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援していくという。

大まかな狙い リコーと東芝テックがそれぞれ掲げる経営戦略を実現するために、複合機の開発/生産を合弁化することで競争力を高める狙いがある
詳細な狙い コロナ禍を経て回復の動きもあるオフィスプリンティング市場だが、中長期的に見ると「ペーパーレス化」などもあり全体的には緩やかな縮小傾向にあるという。両社は数年前から複合機事業の将来について議論をしていたようで、話がある程度まとまったことから今回の発表に至ったようだ

 両社が合弁会社に移管する開発/生産関連事業は、以下の通りとなる。製造した製品の販売については、両社が引き続き担う。

  • リコー:複合機・プリンターとその周辺機器および関連消耗品の開発/製造/OEM
  • 東芝テック:複合機、オートIDシステム並びにそれらの関連商品の開発/製造など

 合弁化は新設会社に両社の事業を継承する「新設分割」ではなく、リコーの完全子会社であるリコーテクノロジーズに両社の対象事業を受け継がせる「吸収分割」で行われる。リコーテクノロジーズは、東芝テックが保有する以下の完全子会社の株式も受け継ぐ(※1)。

  • 東芝テック画像情報システム(※2)
  • Toshiba Tec Malaysia Manufacturing
  • Toshiba Tec (H.K.) Logistics & Procurement
  • Toshiba Tec Information Systems (Shenzhen)(※3)
  • 米国に新設する子会社(※4)

 吸収分割手続きと株式の継承が完了した後、東芝テックはリコーテクノロジーズの株式の15%を取得し、持分法適用会社とする。その際にリコーテクノロジーズは社名(商号)を変更する予定だが、現時点において新社名は決まっていない。

(※1)現時点の合弁契約では、東芝テックのフランス子会社「Toshiba Tec Europe Imaging Systems」は譲渡対象に含まれていない。ただし、Toshiba Tec Europe Imaging Systemsの労使協議会での議論の結果、譲渡対象に追加される可能性がある
(※2)複合機に関連しない開発/生産事業を別会社に継承した上で譲渡する
(※3)複合機の開発/製造“以外”の事業を別会社に継承した上で、株式の他社持ち分を全て買い取った後に譲渡する
(※4)Toshiba America Business Solutionsから、譲渡対象となる事業(複合機用消耗品の生産事業など)を継承するために設立する(5月19日時点では登記が完了しておらず、社名も未定)

スキーム リコーと東芝テックは、複合機に関する開発/生産事業をリコーテクノロジーズに継承する。東芝テックはリコーテクノロジーズの株式を15%取得し、持分法適用会社とする。リコーテクノロジーズは社名を変更する予定だが、新社名は未定である。なお、リコーと東芝テックは複合機のエンジンは共通化するものの、コントローラー(制御部)を始めとするハードウェアやソフトウェアは会社(ブランド)別とすることで差別化を行うという
強み 合弁会社化したリコーテクノロジーズを軸に、リコーと東芝テックの得意分野や強みを掛け合わせることで複合機にとどまらない展開も目指していく

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