ここからは、Crucial T700のエンジニアリングサンプル版のパフォーマンスをチェックしていこう。
今回は、ブート用に別のSSD(Crucial P5 Plus 1TB)を用意した自作PCを用意した上で、そのPCI Express 5.0 x4 M.2スロットにCrucial T700を装着してテストを行う。このPCの主な仕様は以下の通りだ。
まず、ストレージのベンチマークテストアプリとしては定番の「CrystalDiskMark 8.0.4」を実行して、読み書きの速度をチェックしてみよう。今回は設定で「NVMe SSD」プロファイルを選択した上で、データパターンを「デフォルト」と「All 0x00」の2種類で計測した。
デフォルトのデータパターンはランダムなデータを含むファイルを生成してテストをするため、SSDの“素の性能”を確認しやすい。一方で、All 0x00のデータパターンは、名前の通りゼロデータで埋め尽くされたファイル(≒圧縮しやすいファイル)でテストを行う。そのため、SSDの設計によってはカタログスペックよりも“かなり高速”な結果が出ることもある。
シーケンシャル(SEQ1M Q8T1)とランダム(RND4K Q32T1)の実測結果は以下の通りだ。
デフォルトパターンはもちろん、All 0x00パターンでもスペック通りのパフォーマンスマンスを発揮した。PCI Express 4.0 x4接続のSSDでも「速いなぁ」と思っていたのだが、それをはるかに上回る速度で驚くばかりである。
エンジニアサンプル版では、「ランダムアクセスの最適化が(製品版比で)進んでいない」との留意点もあったが、ランダムの読み書きもそこそこ高速だった。製品版とは異なる可能性もあるが、気になるところではある。
PCの総合ベンチマークテストアプリ「PCMark 10」と、3Dグラフィックスのベンチマークテストアプリ「3DMark」に内包されたストレージテストも試してみた。
スコアの目安だが、PCMark 10なら2000ポイント以上、3DMarkなら2500ポイント以上が「高速なストレージ」となる。果たしてどこまでのスコアを叩き出してくれるのだろうか……?
結果は以下の通りだ。
どちらも「高速なストレージ」の基準の2倍前後のスコアとなった。モジュールにもよるが、PCI Express 4.0 x4接続のNVMe SSDでは、両テストで3000〜3500程度のスコアとなる。そこから考えると、Crucial T700をPCI Express 5.0 x4接続で利用すると、「一般的なストレージの2倍程度」「従来の最速のストレージの1.5倍程度」のパフォーマンスを発揮できると考えればよいだろう。
最近は、IntelとAMDどちらのプラットフォームでも、PCI Express 5.0 x4のM.2スロットを備えるマザーボードは増えつつある。次に組む自作PCで“とにかく最速”を目指すなら、PCI Express 5.0 x4接続のSSDは検討に値するパーツの1つといえる。
とりわけ、4K(3840×2160ピクセル)や8K(7680×4320ピクセル)の動画の書き出しのように大容量のデータを扱う機会が多い場合は、間違いなくこの高速さはメリットとなる。価格次第ではあるが、Crucial T700は良い選択肢の1つとなりそうだ。
ただし、1点だけ注意を要するポイントがある。発熱だ。
今回、連続してベンチマークテストを行ったこともあってか、S.M.A.R.T.ベースの値ではあるがモジュールの温度が80度を超えることがあった。ここまで発熱すると、モジュールの保護するための「サーマルスロットリング」(意図的な性能低下)も起こる。スロットリング中は、特に書き込み速度の低下が著しいため、ヒートシンクのある/なしを問わずSSD回りのしっかりとした冷却を意識した環境作りが求められる。
ともあれ、Crucial T700はより高速なSSDを求めるユーザーにとっての福音といえる。よりブラッシュアップされた製品版にも期待したい。
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