ポート類は、左側面にThunderbolt 4端子×2(Sバッテリー構成は×1)、HDMI出力端子とUSB 3.2 Gen 1 Standard-A端子を、右側面にmicroSDメモリーカードスロット、イヤフォン/マイクコンボ端子、USB 3.2 Gen 1 Standard-A端子、Thunderbolt 4端子と有線LAN端子(1000BASE-T)を備えている。Thunderbolt 4端子はUSB PD(Power Delivery)規格の電源入力と、DisplayPort Alternate Mode規格の映像出力に対応している。
標準バッテリー容量によってThunderbolt 4端子の数が異なるのは、バッテリーからの電源供給能力の差に起因するという。端的にいうとLバッテリーならThunderbolt 4端子を3基フル活用してもバッテリー駆動時間をある程度確保できる一方で、Sバッテリーでは2基にしないと実用的なバッテリー駆動時間を確保できない、ということのようだ。
もっとも、他社では大容量バッテリー構成を選ばないとThunderbolt 4端子を搭載できないという事例もある。小容量バッテリーでもThunderbolt 4を使えるのはありがたい。
地味ではあるが、有線LAN端子にもこだわりがある。
薄型化を重視する観点から、昨今ではこの端子が省略されることも多い。しかし、日本の法人ユーザーはあえて無線LAN(Wi-Fi)を導入していないケースも少なからず存在することから、そのニーズに応える形で本モデルでは引き続き搭載している。
……と、これだけなら、他の国内PCメーカーのモバイルノートPCも、同様に取り組んでいる。こだわりポイントは端子の“向き”だ。薄型設計を維持しつつ有線LAN端子を搭載する場合、折りたたみ式の端子を用意するか、爪を引っかける部分が下に来るようにすると設計しやすいのだという。
しかし、dynabook X83の有線LANポートは、爪をひっかける部分があえて上方に来る設計となっている。LANケーブルの着脱を容易にすることに加えて、爪をひっかける部分にセーターが引っかからないようにすることが目的だ。
話を聞いた当初、筆者は「え、セーター?」と疑問符がたくさん浮かんだのだが、よくよく話を聞いてみると、爪を引っかける部分を下向きにしたモデルで、主に女性ユーザーから「LAN端子の爪を引っかける所にセーターが引っかかることが多いのでどうにかしてほしい」という要望が多く寄せられたので、開発陣が苦労して“上向き”に変えたそうだ。
dynabook X83では2.4GHz帯/5GHz帯に加えて6GHz帯でも通信できる「Wi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)」にも対応した。
2.4GHzは他用途の無線との干渉しやすいため、スループット(実効通信速度)が低下しやすい。5GHz帯は一部でレーダー通信との干渉抑止が必要なため、利用する場所によっては通信が途絶しやすくなる。これらの帯域と比べると、6GHz帯は干渉や通信途絶が起こりづらく、より快適な通信を行える。
有線LANを使う企業が多いとはいうものの、最近はWi-Fiを導入するオフィスも増えている。6GHz帯での通信に対応する企業向けアクセスポイントも登場しつつあるので、より快適な通信を求めてWi-Fi 6E環境を整備するのも“アリ”かもしれない。
なお、Lバッテリーを搭載する構成では、12月をめどにCTOオプションとしてLTEモジュールも搭載できるようになる。SIMカードスロットはnanoサイズで、バッテリーの搭載スペース内にある。バッテリーを外さないと着脱できないので、本体の見える所にスロットのあるモデルよりはセキュリティ面では有利だ。
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