プロナビ

ついにカジを切ったDynabookの新モバイルPC「dynabook X83」は何がスゴい? 担当者が決断したワケ(1/4 ページ)

» 2023年07月19日 06時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 Dynabookは7月18日、ビジネス向け13.3型モバイルノートPC「dynabook X83/LW」の受注を開始した。本体価格はオープン設定となっている。

 この記事では、Dynabookの担当者へのインタビューを交えつつ、本機の詳細をお伝えする。

【更新:9月6日16時】ライフサイクルマネジメント(LCM)運用サービスについて追記を実施しました

本体 dynabook X83の実機。カラーは「ダークテックブルー」のみとなる(写真はバッテリーLモデル)
インタビュー インタビューに応じてくださったDynabookの中村憲政氏

ユーザーニーズに応えてバッテリー交換可能に

 dynabook X83は、Dynabookが強みとしてきた「薄型/軽量かつハイパフォーマンスなモバイルノートPC」に、ユーザーが内蔵バッテリーを交換できる設計を取り入れた新モデルだ。バッテリーを交換可能な設計としたことと、ビジネスパーソンの「ゲームチェンジャー」となるツールとなるという思いを込めて、プロモーション上は「CHANGER(チェンジャー)」というニックネームを付けて訴求していく。

ニックネーム 製品名はあくまでも「dynabook X83(X83/LW)」だが、プロモーション上は「dynabook X83 CHANGER」というニックネームを訴求していくという

 なぜバッテリー交換にこだわったのかというと、自社で実施したユーザーアンケートにおいて、ペインポイント(不満点)の第2位として「バッテリー/電源への不満」がランクインしたことが大きいようだ。

 本体の薄型/軽量化とバッテリーの大容量化を“両立”するため、最近のノートPCはユーザーによるバッテリー交換に対応しないことも珍しくない。昔と比べればバッテリーモジュール自体の寿命は延びたが、使い方や環境によってはあっという間に劣化してしまう。そのため、特に国内の法人ユーザーからは「バッテリーを自分(自社)で交換できるようにしてほしい」というニーズは多いという。

 とはいえ、バッテリーを交換可能とする場合、バッテリー自体の強度(耐衝撃性能)をしっかり確保した上で、安全に交換できる仕組みを用意しなければならない。本体やバッテリーを無限に“分厚く重く”できるなら、安全性を確保する難易度は下がる。しかし、モバイルノートPCとして重要な可搬性(本体サイズや重量)を犠牲にしなければならない。

バッテリー容量への不満 Dynabookが自社実施したモバイルノートPCユーザーへのアンケートの結果。バッテリーや電源回りへの不満が意外と多いことが分かる

 そこでDynabookが取った選択肢が、電源をオフにした状態で、内蔵バッテリーを簡単に交換できる設計だ。電源をオンにした状態でも交換できる「ホットスワップ」も検討したそうだが、設計面のバランスを取る観点から採用を見送ったそうだ。

 dynabook X83の裏ぶたは、大きく2つの領域に分割されている。そのうち、パームレスト側は内蔵バッテリーとの“共締め”となっており、2カ所のネジを回すことで簡単に外せるようになっている。

 パームレスト側の裏ぶたを外すと、内蔵バッテリーが姿を見せる。バッテリー上部にあるラッチを上方に動かしつつバッテリーに手を掛けると、簡単に取り外せる。取り付けは逆の手順で行えばよい。

 バッテリーはSサイズ(2セル)とLサイズ(4セル)から選択可能で、物理的には全モデル共に両サイズのバッテリーに対応できる。ただし、Sサイズのバッテリーを標準搭載しているモデルはThunderbolt 4(USB4)端子が1基少なくなるので、注意が必要だ(詳しくは後述する)。

裏ぶた 裏ぶたのパームレスト側にある2カ所のネジを緩め、指で裏ぶたを持ち上げると……
バッテリーにアクセス 内蔵バッテリーにアクセスできる。ラッチを持ち上げつつ、バッテリーを持ち上げると……
取り外し 取り外しが完了する。取り付けは、取り外しの逆の手順で行える

 リチウムポリマーバッテリーというと、ふにゃふにゃしているイメージも強い。万が一、締め忘れたネジなどが原因で破損してしまうと、最悪の場合は発火事故にもつながってしまう。現に、一部メーカーのノートPCで「バッテリー破損による発火を防止するためのリコール」が行われたこともある(参考記事)。

 ユーザーによる交換に対応すべく、dynabook X83は通常のリチウムポリマーバッテリーと比べると“固く”なっている。具体的には、バッテリーの表面と裏面にステンレス板を取り付けることで、異物や意図せぬ圧力でバッテリーモジュール自体が破損するリスクを軽減している。また、ユーザーがバッテリー交換時にバッテリー以外の部品に触れなくて済むように工夫も施されている。

 なお、交換用バッテリーモジュールは、Lサイズのみオプションとして購入できる(※1)。有償の「ライフサイクルマネジメント(LCM)運用サービス」に加入している法人ユーザーについては、バッテリーモジュールの送付を受けるサービスも選択できるようになる。

(※1)Sサイズのバッテリーは保守部品として提供(LCM運用サポートでも入手可能)

固いバッテリー ユーザーが自ら交換する前提ということもあって、リチウムポリマーバッテリーには破損防止のための“補強”が施されている
バッテリー交換 LCM運用サービスに加入している法人ユーザーは、バッテリーの提供をサービスとして選択できるようになる
デモ バッテリの交換しやすさを自らアピールする中村氏
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年12月07日 更新
  1. M4 Maxチップ搭載「16インチMacBook Pro」の実力をチェック 誰に勧めるべきモデルなのか? (2024年12月06日)
  2. 「Windows 11 2024 Update(バージョン24H2)」の既知の不具合まとめ【2024年11月27日現在】 (2024年11月27日)
  3. Amazonが「Fire TV Stick HD」のプレゼントキャンペーンを開催 新製品のサウンドバーとのセットも (2024年12月04日)
  4. QWERTYキーボード付き二つ折りポータブルPC「AYANEO FLIP KB」の操作性を試す ビジネスでも使える? (2024年12月05日)
  5. EIZOが最薄部約24.4mmでアーム付属の23.8型液晶ディスプレイ「FlexScan FLT」を発表 欧州エネルギーラベル「Class A」取得で環境に配慮 (2024年12月05日)
  6. やはり軽いのはいい! 13.3型AI PC「HP EliteBook 635 Aero G11」にスイッチして分かった驚き (2024年12月05日)
  7. サンワ、消費電力のチェックもできるキューブ型電源タップ PD対応USB充電ポート×3を装備 (2024年12月05日)
  8. 天空がパワフルかつ拡張性の高い小型ノートPC「GPD Pocket 4」を2025年2月に発売 14万6700円から(予約で3000円引きに) (2024年12月06日)
  9. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  10. MSI、Core i5搭載ビジネス向けミニPC「Cubi 5」にAmazon専売モデルを追加 (2024年12月05日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー