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これからのPCは「パーソナルコンパニオン」だ! HPが投入予定の「AI PC」やプリンティングロボを見てきたHP Imagine 2023(1/2 ページ)

» 2023年10月13日 19時00分 公開
[笠原一輝ITmedia]

 既報の通り、HPは10月5日(米国太平洋時間)、米カリフォルニア州パロアルトにおいてイベント「HP Imagine 2023」を開催し、新製品や新サービスなどを発表した。講演では、同社が2024年に発売を予定する「AI PC」をチラ見せする場面も見受けられた。

 この記事では、別記事で紹介したHP Spectre Foldable PC以外の新製品について、気になるモノを一気にチェックしていく。

ロレスCEO HP Imagine 2023で講演するエンリケ・ロレス CEO

2024年にリリースされる予定の「AI PC」をチラ見せ

ロレスCEO HPの目指す姿を語るロレスCEO

 HP Imagine 2023の冒頭で行われた基調講演において、HPのエンリケ・ロレスCEOは「ハイブリッドワークやAI(人工知能)の時代に向けた製品をリリースする一方で、セキュリティーやAIに関するさまざまな懸念などを払拭(ふっしょく)する取り組みをすることで、ユーザーに信頼されるシステムを構築していくことが重要だ」と強調した。

 同氏は「HPは人々を幸せにして、生産性を高める製品を常に提供してきた。それは今後も変わらない。ハイブリッドワークのような柔軟性を備えた働き方を実現できるようにしつつ、AIの時代に対応した機能を提供し、そして信頼されるようなAIを提供していかなければならない」とも語る。

柔軟性の時代 ハイブリッドワークに代表されるように、あらゆる場面で“柔軟性”が求められる時代が訪れた
AIの時代でもある そして、今後は「AIの時代」でもある
価値の時代 そういう時代だからこそ“信頼”が持つ価値が重要となる

 ロレス氏は基調講演の後半にも登壇し、2024年に発売する予定の「AI PC」の実機を“チラ見せ”した。現場で見た限り、シルバーボディーのモバイルノートPCのようだ。

 AI PCというのは、Intelが9月に開催したイベント「Intel Innovation 2023」から使っている用語で、AI処理に必要な「推論演算」をローカル(オンデバイス)で高速に行う仕組みを導入したPCのことを指す。

 12月14日に正式発表される「Core Ultraプロセッサ」(開発コード名:Meteor Lake)には推論演算に特化した「NPU(Neural Processing Unit)」が搭載されている。NPUを利用すると、インターネットに接続していなくても生成AIの機能を利用してチャットボットが使えたり、画像生成ができるようになったりする。

チラ見せした様子 アレックス・チョウ氏(右、パーソナルシステム事業本部長)が手にしているノートPCが、HPがリリースする予定のAI PCである(HP Imagine 2023の配信映像より)

 PC向けCPU(SoC)では、既にAMDがRyzen 7040シリーズの一部で「Ryzen AI」というNPUを備えた他、Qualcommも「Snapdragon 8cx Gen 3」に「Qualcomm AI Engine」というNPUを搭載している。ここにCore Ultraプロセッサが加わることで、少なくともWindowsノートPCではNPUを備えるSoCを選べる環境が整う。

 そうした状況を受けて、PC各社は2024年の“目玉製品”として、AI PCの発売に向けた準備を進めている。それはHPも例外ではなく、今回のチラ見せによって、AI PCのリリースに向けて準備が進んでいることを印象付けた。

 ロレス氏は「これまでPCは『パーソナルコンピューター』だった。しかしこれからは『パーソナルコンパニオン』になっていく」と述べ、AI PCが人間が困っていることを解決してくれる「コパイロット(副操縦士)」のような存在になっていくと強調した。合わせて、HPでもユーザーを助けるような「AIアプリ」の開発を行い、同社のAI PCにプリインストールしていく方針も示した。

AI PC HPとしては、2024年はAI PCを強く推進していく方針だ

 続いて、持ち運び可能な液晶一帯型(AIO)デスクトップPC「HP Envy Move 23.8-inch All-in-One PC」を始めとする、本イベントで発表された新製品をチェックしていこう。

HP Imagine 2023で発表された新製品を一挙紹介!

 HP Imagine 2023では、複数の新製品が発表された。その概要は別の記事で紹介済みだ。この記事では、別途紹介したSpectre Foldable PC以外の新製品について、写真や動画を交えつつ紹介していきたい。

自立スタンドを自動でしまえる「Envy Move」

 「HP Envy Move 23.8-inch All-in-One PC」は、デザイン性を重視する「Envy」ブランドから新たに登場する23.8型の液晶ディスプレイ一体型(AIO)デスクトップPCだ。米国では既に直販サイト(HP.com)で販売されており、価格は899.99ドル(約13万4000円)からとなっている

Envy Move Envy Moveを紹介するアレックス・チョウ氏(パーソナルシステム事業部 事業部長)。この製品の特徴を端的に示したワンショットである
実機 Envy Moveの実機

 Envy Moveは、本体のスタンドが非常にユニークな構造となっている。

 本機は上部にある取ってを持って、本体を自由に移動できることが特徴だ。取って(ハンドル)を持って本体を持ち上げると、足が自動的に本体と“平行”な向きに収納される。逆に、本体を床や机の上に置こうとすると、足が自動的に出てくる。

 こうすることで、持ち運びの際に足が折れてしまう事故を防いでいる。このギミックは実際の動きを見た方が早いので、動画を確認してほしい。

HP Envy Moveのスタンドギミック
足が動く 本体を持ち上げると足がしまわれ、置こうとすると足が出てくる。これは何度見ても面白い

 持ち運びを前提としていることもあり、キーボードはBluetooth接続のワイヤレス式となっている。タッチパッドも一体化することで、マウスを持ち運ばずに済む。本体背面には、このキーボードを収めるためのポケットも付いている。

持ち運び用のハンドル 持ち運び用のハンドル
キーボード キーボードはBluetooth接続で、右側にタッチパッドも付いている
背面ポケット キーボードは本体背面のポケットに入れて一緒に持ち運べる
左側 本体左側のポート類
右側 本体右側のポート類
カメラスイッチ 持ち運び用ハンドルの近くには、Webカメラのシャッター(スイッチ)を備えている

HyperXのゲーミング周辺機器(一部は日本発売決定)

 HPのゲーミング周辺機器部門「HyperX」は、4Kゲーミングカメラ「Vision S Webcam」、ゲーム配信用「Audio Mixer Audio Interface」、マイク/カメラアームの「Caster Microphone Arm」を展示した。これらのうち、Caster Microphone Arm以外の2製品は、日本での発売が決まっている。

Vision S Webcam 日本では10月26日に発売される予定の4KゲーミングWebカメラ「Vision S」
Audio Mixer Audio Interface 発売日は未定だが、日本でも発売されることになった「Audio Mixer Audio Interface」
後面 背面のポート類
背面 日本における「VCCI認証」も取得済みだ
Caster Microphone Arm こちらはCaster Microphone Arm
デモ風景 HP Imagine 2023の会場では、HyperXと契約している米国の有名ゲーム配信者であるFuslieさんがデモを行った

 もちろん、HP Imagine 2023の会場にはビジネス向け製品の展示もあった。

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