GIGAスクール構想では、学習用端末のOSとして「ChromeOS」「Windows 10 Pro(現在はWindows 11 Pro)」「iPadOS」が推奨されているが、複数の調査によるとシェアトップはChromeOS(Chromebook)で、Windows 10/11 Proは2位となっている。3位のiPadOSとの差はわずかだ。
「端末価格が手頃」「スペックが低くても快適に動作する」といったように、教育用端末においてChromebookのシェアが高い背景としてはコストパフォーマンスの良さへの評価がある。
冒頭でも触れた通り、今回の説明会はGIGAスクール構想に合わせて導入された学習用端末のリプレースを視野に入れて行われている。というのも、GIGAスクール構想によって導入された学習用端末のリプレースが、早い自治体(学校)では2024年度(2024年4月)から始まるからだ。文部科学省でも、同年度予算の概算要求において1台当たり4万5000円の端末整備(購入)補助金を盛り込んでいる。
これを見越して、日本マイクロソフトとしては、現在Windows 10/11 Pro端末を使っている自治体の継続利用と同時に、他OSの端末(特にChromebook)を使っている自治体のWindows 11 Pro端末へのスイッチ(と、できればMicrosoft 365の採用)を狙っているようだ。
同社によると、学習用端末をとしてWindows 10/11 Pro搭載PCを選んだ自治体(学校)は、児童/生徒が大学生や社会人になった後のことを考えて導入しているのだという。実社会によるWindowsのシェアの高さも、アピールポイントということだ。
同社では、このリプレースに伴い導入されるであろう学習用端末の推奨スペックと、それに適合する推奨PCを公表した。興味深いのは、使い道に合わせて推奨スペックを「GIGA Basic パソコン」と「GIGA Advanced パソコン」の2種類に分けたことだ。
児童/生徒用のPCは、両者の違いはメモリと内蔵ストレージの容量にある。
GIGA Basic パソコンは、メモリが4GB/ストレージが64GBと、現行のGIGAスクール構想における最小要件を満たす構成になる。常にインターネットに接続して、クラウドサービスを使って学習を進めていく学校であれば、これで必要十分であるという判断だ。
学習用端末のコストをとにかく重視する自治体はもちろんだが、Chromebookからのリプレースも強く意識した仕様となっている。
GIGA Advanced パソコンは、メモリが8GB/ストレージが64GBまたは128GBと、現状の最小要件を上回る定義となっている。ストレージ容量が2種類あるのは、ストレージが速度の遅い「eMMC規格」から速い「UFS規格」への移行が進むという予想に基づいているという。
これはオンプレミスの(端末に直接インストールする)アプリを多用する学校を見越して設定したものだという。STEAM教育、プログラミング、画像編集などをマルチタスクで行うニーズに応えられるギリギリのメモリ容量が8GBという判断のようだ。
メモリやストレージの容量以外の面は、どちらも推奨スペックは共通で、以下の通りとなる。
これらのスペックは、現場の教職員からのヒアリングを経て決めたという。学校教育における目的を考えると、このスペックで必要十分ということなのだろう。
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