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「GIGA Basic パソコン」と「GIGA Advanced パソコン」って何? 日本マイクロソフトが描く“アフターGIGA”への取り組み(1/2 ページ)

» 2023年10月17日 19時20分 公開
[井上翔ITmedia]

 日本マイクロソフトが10月17日、「Next GIGA に向けた取り組みプレス説明会」を開催した。この説明会では、文部科学省が提唱した「GIGAスクール構想」に伴って大量導入された学習用端末(PC/タブレット)のリプレースを視野入れつつ、今後の教育ICTに向けた同社の取り組みが語られた。

登壇者 説明会に登壇した業務執行役員の佐藤久氏(左:デバイスパートナーセールス事業本部 事業本部長)と、執行役員の中井陽子氏(右:文教営業統括本部 統括本部長)

自治体、教員、児童/生徒の「三方良し」を目指して

 日本マイクロソフトでは、教育におけるICT(情報通信技術)が定着するには「自治体(教育委員会/学校)」「教職員」「児童/生徒」が抱える問題点を解決することが重要だと語る。

 GIGAスクール構想では、学習用端末を始めとするICT環境の構築は基本的に自治体に委ねられている。国(政府)からの一定の補助金があるとはいえ、予算には限りがある。ゆえに「より良い環境を構築するための投資」、具体的にはICT支援員の増員や、利便性を高めるための機材や教材への投資をしたくてもできないという課題を抱えているのだ。

 教職員は教職員で、授業研究や児童/生徒への対応に加えてICTへの対応が重なって多忙さがむしろ増しているという声がある。ICTをうまく利活用できれば、業務負荷の軽減につながるはずなのだが、うまく行っているケースとそうでないケースの差が大きくなっているように思える。

 GIGAスクール構想は、児童/生徒個々人の「個別最適化された学び」を実現するための環境整備で進められた側面もある。しかし、最近は児童/生徒の「精神的幸福度」が低下しており、「幸せ」を感じられないことが児童/生徒の学習意欲を低下させているという指摘もある。これでは、ICT機器をいくら利活用しても「宝の持ち腐れ」になりかねない。

課題 教育の主体である自治体、教職員、児童/生徒のいずれも課題を抱えている
うまく行っている 日本マイクロソフトが提供するアプリやソリューションを使って、校務の効率化や教育の深度向上を図れた事例もある。しかし、このような「成功例」の裏には当然「失敗例」もあるはずで、その失敗を生かして成功につなげていく必要がある

 そこで同社は、自社の持つアプリやソリューションをもっと利活用することを提案する。

 自治体のコストを抑える観点では、サブスクリプションサービス「Microsoft 365 Education」のA3/A5ライセンスが役立つという。

 教職員単位で契約しているライセンスを教育委員会(あるいは学校)単位の「包括ライセンス」に切り替えると、ライセンス料金を据え置きつつ、児童/生徒にも「生徒用特典」で無料ライセンスを付与できるようになる(※1)。この生徒用特典には「Microsoft Intune」での端末管理ライセンスも付属するので、MDM(モバイルデバイス管理)サービスを別途契約/購入する必要がなくなる。Windows 11には「Windows Security」も内包されているため、適切に管理されたPCならセキュリティアプリの導入も原則として不要である。

 児童/生徒向けのMicrosoft 365のライセンス料金やMDMサービス、セキュリティアプリへの出費を削減することで、ICT教育の拡充への投資がしやすくなる――ライセンスをうまく使うことも、1つの手といえる。

(※1)ライセンスの無料付与には一定の要件があります

ソリューション 自治体(教育委員会/学校)の悩みを解決

 教職員に対してはMicrosoft Teams for Education」を軸にした業務効率化を提案する。Teams for Educationは、教職員同士はもちろん、児童/生徒と教職員、保護者と教職員とのコミュニケーションにも活用できる。

 そこに「Learning Accelerators」を組み合わせると、児童/生徒の学習状況、児童/生徒の心の状況、児童/生徒同士のエンゲージメント(つながり)やICT機器の利用時間の把握をしやすくなる。

先生 教職員に対してはTeams for EducationやLearning Acceleratorsの利活用を勧めている

 児童/生徒に対しては、先述のLearning Acceleratorsによる個別学習によって学ぶ楽しさを実感できるという。算数/数学や語学(音読)の自学自習はもちろん、プレゼンテーションや調べ学習にも役立つとのことだ。

 Learning Acceleratorsは小学生や中学生だけでなく、高校生向けにも利活用できる。導入済みの学校からは、特に音読練習機能(Reading Progress)が好評だという。

Learning Accelerators 児童/生徒は、Learning Acceleratorsによる自学自習を通して「学ぶ楽しさ」を実感できるという
Learning Accelerators Learning Acceleratorsの音読練習機能(Reading Progress)は、導入済みの学校からの評価が高いそうだ

 これらのサービスを利用する上で、児童/生徒の学習用端末や教職員用端末の存在は欠かせない。日本マイクロソフトとしてはWindows搭載端末の利用を推奨……するのは当然なのだが、問題はそのスペックだ。

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