通信機能は、Wi-Fi 6E対応の無線LAN、Bluetooth 5.3に対応する他、5G対応のモバイル通信機能も搭載できる。モバイル通信を搭載する構成はnanoSIMスロットとeSIMを搭載しており、デュアルSIMで運用することも可能だ(同時接続は不可)。
左側面にはHDMI出力端子、nanoSIMスロット、Thunderbolt 4(USB4)端子を、右側面にはThunderbolt 4端子、USB 3.2 Gen 1 Standard-A端子とイヤフォン/マイクコンボ端子を備えている。Thunderbolt 4端子は、USB PD(Power Delivery)規格の電源入力と、DisplayPort Alternate Mode規格の映像出力にも対応する。
薄型ボディーながらも開閉式とすることでUSB 3.2 Gen 1 Standard-A端子を備えており、USB Standard-Aプラグの機器も変換アダプターなしで使えるのは心強い。
キーボードは日本語配列で、打ちやすい。キーボードのキーピッチは縦横ともに約18.7mmと十分な間隔だ。キートップには凹みがあり、指を安定して置くことができる。
キーストロークは約1.3mmとこのクラスとしては標準的。スイッチの感触も良好で、快適にタイプできる。
ディスプレイは、13.5型液晶を搭載する。最近のビジネスノートPCでは1920×1200ピクセル(アスペクト比の16:10)のパネルが主流になりつつあるが、本製品では縦方向の情報量がさらに多い1920×1280ピクセル(アスペクト比3:2)のパネルを採用している。
縦方向の情報量が多いと、縦長のWebサイトを少ないスクロールで表示できる他、A4縦基準で制作されたPDF資料なども相対的に大きく表示できる。実は、ビジネスと3:2のアスペクト比は相性が良い。
また評価機のパネルには、最上段のキー1つで有効にできる内蔵プライバシースクリーン「HP Sure View Reflect」も搭載されている。これを有効にすると、正面からの視認性を保ちつつ、斜めからの視認性が低下するので、のぞき見によって画面の情報が盗まれることを防げる。
ただし、画面の視認性については少し“クセ”があり、好みが分かれそうだ。輝度は最大1000ニト(公称値)と非常に高く、実測でもsRGB相当の十分な色域を備えることが確認できた。しかし、タッチセンサーを搭載することもあってか、表面は光沢(グレア)仕上げとなっており、照明などが映り込みやすい。輝度を最大近くに設定すれば気にならないが、50%程度まで下げると気になってしまう。
加えて、バックライトの指向性がかなり強い印象で、プライバシースクリーンをオフにした状態でも、斜め方向から画面を見ると暗いように思える。プライバシースクリーンを使う前提なら全く問題ない挙動ではあるものの、気になる人もいるだろう。
ビデオ会議(Web会議)において重要なカメラとサウンド機能が充実しているのも、本機の特徴として見逃せない。
マイクとスピーカーは、AIによるノイズリダクションに対応している。生活音など周囲に雑音があるような環境でも、クリアな音声でビデオ会議に臨める。
サウンドシステムはオーディオブランドの「Bang & Olufsen(B&O)」の監修を受けており、スピーカーは4基備える。薄型ながら低音も効いたしっかりしたサウンドを再生可能で、ビデオ会議だけでなく動画視聴やゲームなども、なかなかの迫力で楽しめる。
Webカメラは約500万画素の高解像度仕様で、顔認証用のIR(赤外線)カメラを統合している。カメラアプリでは、自動明るさ調整や外観フィルター、背景効果など、映像の印象を良くするインテリジェントな機能を利用できる。
外付けのWebカメラを接続した場合は、2系統のカメラ映像を切り替えたり、同時に表示させたりすることもことも可能だ。
なお、本機にはカメラとセンサーでユーザーの離席/着席を検知してPCを自動でロック/ロック解除する「HP Auto Lock & Awake」や、マルウェアに感染したWebサイトからPCを守る「HP Sure Click」、BIOS(UEFI)レベルの攻撃を検知して自動復旧する「HP Sure Start」など、プライバシーやセキュリティーに関する機能も充実している。
ハードウェアやソフトウェア面での特徴の紹介はこのくらいにして、ベンチマークテストを通してパフォーマンスをチェックしてみよう。
評価機のベンチマークテストの結果を見てみよう。今回は参考として、2018年に発売された旧世代のビジネスノートPCのスコアも掲載している。
テスト時の室温は28度で、システム制御設定はデフォルトの「SmartSense」を利用している。
CPUの馬力がストレートに反映される「CINEBENCH R23」のCPUスコアは6895ポイント。旧世代PCの2倍近いスコアを記録した。
実際のアプリを利用してビデオ会議やコンテンツ制作などを行い、システムの総合的なパフォーマンスを計測する「PCMark 10」、3Dグラフィックス性能を計測する「3DMark」、ストレージ性能を計測する「CrystalDiskMark(ひよひよ氏・作)」のいずれも、旧世代PCを圧倒する優秀なスコアをマークしている。
静音性も高い。アイドル時はもちろん、高負荷時でも大きな音になることはなく落ち着いた音だ。かなり静音に調整されているので、パフォーマンス設定ならばさらに良い性能が出せるだろう。
発熱もうまく処理されている。室温が高めのこともあってキーボード中央部は少し温度が高いところもあるが、許容範囲内。手がよく触れるパームレストは体温前後に抑えられている。システム制御を「低温」に設定にすればさらに下げることができるだろう。
HP Dragonfly G4の魅力は、質感の高い薄型軽量ボディーと、ビジネスに適したパフォーマンスやレスポンス、ハイブリッドワークに適したビジュアル/オーディオ機能が充実していることだ。プライバシーやセキュリティにも注力しているのは、HPならではの魅力だろう。
静音性や発熱の処理なども含め、完成度高く仕上がっている。Intelが最高の体験ができるとお墨付きを与える、Evoプラットフォームに準拠している点も心強いところだろう。
同社直販サイトにおける販売価格は、最小構成で21万4280円、Core i7-1355Uモデルで24万5080円から、32GBメモリを選択できる構成(Core i7-1365Uモデル)で26万9280円からとなっている。直販サイトでは構成によってはSSDの容量やOfficeアプリの有無なども選択できるので、自分好みの構成にできることも魅力だ。
やや高価ではあるが、本製品のビジネス戦闘力はきわめて高く、ハイブリッドワークの生産性を向上させてくれるのは間違いない。特に、さまざまな場所にPCを持ち運んでハイブリッドワークを行うアクティブなビジネスパーソンにとっては魅力が大きく、検討する価値は十分にあるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.