Appleは10月31日(日本時間)、スペシャルイベントにおいて新型Apple Siliconの「M3」ファミリーを発表、新しいMacBook ProとiMacで採用する。
新たに投入されたM3ファミリーは、M3 Max/M3 Pro/M3の3ラインで、いずれも3nmの製造プロセスを採用している。M1ファミリーからの優れた電力効率を維持しつつ、「かつてないスピードを届ける」(Apple)とした。ユニファイドメモリは、最上位のM3 Maxで最大1288GBをサポートする。
M3ファミリーで最も進化したポイントはGPUにある。従来はタスクを割り当てるローカルGPUのメモリ量をソフトウェアがコンパイル時に定めており、最も負荷が高い1つのタスクの元にも他のタスクと同量のメモリを確保していた。このためGPUのポテンシャルをフルに引き出せていなかったが、M3ファミリーではローカルメモリがハードウェアの中でリアルタイムにメモリを動的に割り当てる「ダイナミック・キャッシング」を導入。それぞれのタスクに応じたメモリ量が使われるようになり、GPUの平均使用率が劇的に上がることで、最も高負荷なゲームやプロ向けのアプリでもパフォーマンスが大きく向上するという。
この次世代GPUが新しいレンダリング機能をもたらすとし、ハードウェア・アクセラレーテッド・メッシュシェーディング/レイトレーシング機能を搭載することで、ジオメトリ処理の能力と効率を高め、視覚的に複雑なシーンの作成が可能という。同社では初のハードウェア・レイトレーシング機能の実装となる。
CPUコアは、電力効率はそのままに高性能コアがM1ファミリー比で最大30%、M2ファミリー比で最大15%、高効率コアは同様にそれぞれ最大50%/30%も高速になったとする。
マルチスレッド動作時のパフォーマンスでは、M1と同じCPU/GPUパフォーマンスの場合、M1の消費電力の約50%オフで動作するという。これにより、1Wあたりのパフォーマンスは大きく向上したという。
なお、M3ファミリー搭載PCはMacBook ProとiMacに採用され、11月から販売が開始される。
高効率なNeural Engineを搭載することで、AI処理はM1ファミリーに比べ最大60%、M2ファミリー比では最大15%高速化するとした。一方、メディアエンジンは新たにAV1のデコードに対応し、ストリーミングサービスの電力効率が高まることでバッテリーの駆動時間も長くなるとアピールした。
同社のティム・クックCEOは、「たくさんの人に愛されているMacを進化し続ける。Apple Siliconを採用したMacファミリーはパーソナルコンピュータ史上、最も強力で最も高性能だ」とスペシャルイベントで語った。
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