さて本製品の最大の利点は、家族や友人知人、また法人利用であれば従業員やパート、アルバイトのスタッフなど、さまざまなユーザーの特性に応じた共有方法が設定できることにある。具体的なシチュエーションと、それに対応する使い方をざっと紹介する。
最も多いのは家族で、自宅のカギを共有するパターンだろう。管理者権限を保有する家族の誰かを除けば、全員が管理者と全く同じ使い方をすることになる。このパターンでは、メンバーの追加/削除はあってもごくまれと考えられる。
この場合は、管理者が家族一人一人に専用アカウントを作成するのがよい。家族は各自スマホアプリをインストールし、管理者から受領した招待コードを使って登録することにより、家族のグループに追加されて利用可能になる。家族ごとに個別のパスワードを設定しておけば、誰がいつカギを取り出したのかを解錠履歴で判別できるようになる。
同じメンバーが繰り返し使う家族とは対照的な使い方として、友人や運送業者などに自宅に立ち入ってもらうにあたり、一度だけ解錠してもらうパターンが考えられる。あるいは自宅で体調を崩して床にふせっていて、来訪者を玄関まで迎えに出られない場合に活用するパターンもあるかもしれない。
この場合はアカウントを発行せず、1回だけ利用可能なパスワードを発行し、それを相手に電話やSMSで伝え、テンキーで解錠してもらう形になる。1回使うと無効になるので、同じパスワードを使って後日侵入される恐れもない。さすがに1回きりでは制限が厳しすぎる場合は、回数ではなく日時で制限を設ける方法もある。いずれにしても、アプリのインストールは不要だ。
ユニークなのは、管理者がBluetoothでの通信ができない遠距離にいても、利用可能なパスワードをアルゴリズムで生成する「オフラインパスワード」なる仕組みを搭載していることだ。これを使えば、管理者が何らかのアクシデントで自宅ないしは店舗に到着できない場合に、代理の誰かに遠隔地からパスワードを発行し、代わって解錠してもらうことが可能になる。
これに加えてもう1つ、店舗におけるパートやアルバイトの利用のように、基本的に同じユーザーが繰り返し利用することが前提ながら、異動や退職などによって、将来的にパスワードの無効化が必要となるパターンも考えられる。前述の「家族」と「ワンタイム」の中間のようなパターンだ。
こうした場合は、アカウントは個人ごとに作成した上で、スマホアプリを使った解錠は無効化し、テンキーで解錠するためのパスワードのみ設定しよう。こうすれば、解錠履歴で誰かがロックを解除したのかも追跡できるし、該当者が異動や退職をすれば、アカウントは削除すればよい。このように、ケースバイケースで機能を組み合わせることが可能だ。
この他、本製品には5分間だけ使えるダイナミックパスワードや、特定のメンバーが解錠した時やエラーが発生した時にメッセージを送信する機能も備える。さらに今回は未検証だが、スマートスピーカーとの連携にも対応しているなど、スマートデバイスとしての汎用(はんよう)性も考慮されている。
最後に、便利なオプション製品をチェックする。
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