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「HHKB Studio」は最強のコンパクトキーボード ただし物理キーの少なさに慣れるかが鍵になる「目指せ↑ワンランク上の仕事術」デジモノ探訪記(3/3 ページ)

» 2023年12月05日 17時05分 公開
[石黒直樹ITmedia]
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ポインティング操作は「慣れ」だが、大きなデスクトップには向かない

 ポインティングスティックの扱いに慣れていないと書きましたが、これは慣れれば問題ないのかなと思います。しかし、そもそもの問題があります。私のメイン環境は5つのディスプレイを接続した広大な空間です。ポインティングスティックで移動するには広すぎました。チマチマと動きますので、マウスのように大きく移動させることができないのです。

 逆にノートPCの1画面でも使ってみましたが、こちらは特に問題なく使用できました。利用環境に適しているかは検討した方がよいかもしれません。

ジェスチャーパッドは便利な半面、誤操作との兼ね合いが悩ましい

 実はHHKB Studioに興味を持ったのはこのジェスチャーパッドがキッカケでした。ジェスチャー操作で画面のスクロールなどが可能です。例えばWordでキーボードをガッツリ利用している時に、上下を見たいだけのためにマウスのスクロールボタンに手をのばすのはおっくうなものです。それがキーボードの縁で操作できると「ものすごく生産性があがるのでは……」という期待です。

 この点については期待通りの動きでした。スクロールだけでなく、キーボード手元でマウスカーソルの移動やクリックもできますので、まさにキーボードだけで操作ができました。

 しかし、比較的緩くキーボードを使っている時は、誤ってジェスチャーパッドを触ってしまうことが何度も発生しました。これは私の癖ですが、手の置き場所として結構キーボードの縁に手を置いていたようです。ジェスチャーパッドはスクロール以外にもカーソル操作が割り当てられていますので、入力カーソル位置が意図せず違うところに飛んでしまう事態も発生。これはこれでストレスになります。なお、ジェスチャーパッドの動作を無効化することもできますので、よほどであればオフにするのもよいでしょう。

物理スペースのあるデスクトップ環境には不要かも

 HHKB Studioの売りは、そのコンパクトさの中にマウスやジェスチャーパッドといった付加機能があるという点だと感じます。つまり、大きく手を動かさずに全てのPC操作が可能ということです。しかし、ファンクションキーやテンキーまで排除したコンパクト性はデメリットも生みます。1つのキーボタンでできることが必然的に減るためです。

 私のメイン環境はキーボード、マウスのみならず、左手デバイスともいわれる「Stream Deck+」を使っています。特にStream Deck+は非常に重要なデバイスで、ショートカット操作などをボタン一つで操作できます。少しでも快適で効率良く、と場所も確保して環境整備している中、無理にキーボードサイズを小さくする必要性は無いわけです。

photo 上部がHHKB Studioで下部がREALFORCE。確かにコンパクトさは魅力的ですが、利便性を落としてまで変える必要はないと判断しました。なお、正面は42.5型のディスプレイで幅は約97cmです

 HHKB Studioにせめてファンクションキー、できればテンキーありモデルがあると、完全に付加機能がプラスとなります。HHKB Studioを使うからといって既存のマウスを外す必要はなく、併用すればよいのです。自分にとって何が良くなって何が悪くなるのか。よくよくの見極めが必要かと思います。

逆に、コンパクトな場所で使うには非常に使いやすい

 私の場合、メイン環境は特殊ですが、コンパクトな場所で使うには非常に魅力的だと思います。マウスも不要になるためです。外出先で使うのは面白いかもと感じますね。

photo REALFORCEのテンキーなしバージョン(上)と比べてもこのコンパクトさ。しかもマウス付きです

 ノートPCの外付けキーボードとして使うことを考えると、今度は変な話、ノートPC本体のキーボードが物理的に邪魔になってきます。そうなると、ディスプレイが360度回転するノートPC、Surface ProのようなタブレットベースのPC、Galaxy TabのようなAndroidタブレットなどが魅力的なデバイスになってきます。

 ノートPCのキーボードの上に置くための「キーボードブリッジ」といった板も発売されていますが、ノートPCの上で重いキーボードをガシガシたたくのは、物理的な意味で少し気が引けます。

 外出先で最高のキーボードが使えるのは魅力的ですが、持ち運ぶには重さの壁があります。HHKB Studioは単三形乾電池4本をセットした状態だと約930gです。私が持ち運び用として使用しているノートPC「LIFEBOOK WU2/H1」も約930g。持ち運ぶにもそれなりの気合いが必要になります。

photo こちらはディスプレイを360度回転できるDELLのXPS 13インチモデル。スタイラスペンが使えるようにと回転するようになっています。非常にコンパクトで、使い方としては面白いですね 

キーの少なさが克服できれば、最高のキーボード

 HHKB Studioがあなたにとって使えるか使えないか。それは最終的には物理キーの少なさにどこまで適合できるかになると感じました。もともとのHHKBシリーズと同様ですね。

 私としてはコンパクトさよりも、ファンクションキーのように1つのキーでできることの利便性を重視します。コンパクトさを生かした持ち運びを考えても、重さから及び腰になりました。しかしそれらに問題がない場合、最高のキーボードであると感じます。

 キー操作に問題がないかどうかは、実際に使ってみるしかありません。HHKBがレンタルできるサービスもあります。そうしたサービスを活用し、本当に自分に合うかを確認するのも一つの手だと思います。

 コンセプトに反するかもしれませんが、なんとかファンクションキー搭載モデルの開発を願うところです。

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