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ロジクール、“他社コラボ”で法人領域を強化 笠原社長が事業戦略を説明(1/2 ページ)

» 2023年12月11日 13時00分 公開
[渡辺まりかITmedia]
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 ロジクールといえば、マウスやキーボードなどのPC周辺機器を思い浮かべる人が多いだろう。これらは仕事の生産性に直結する重要なデバイスで、同社の主力製品であることに変わりはないが、“彼ら”が次に目を付けたのは「オフィス空間」そのものだ。

 ロジクールは12月8日、「THE NEW LOGIC OF WORK」というテーマで事業戦略発表会を行った。テーマを直訳すれば「仕事の新しい論理」だが、同社がこれから法人向けの領域で目指すのは、オフィス内外での快適なコミュニケーションを実現すること、またメンバーの健康を損ねることなくコミュニケーションを活性化させることだという。

 そこで新たな取り組みとして始めるのが、自社で提案しきれない分野を他社とコラボすることで補う「ロジクール ONE“with Office”パートナーシップ」である。

ロジクール事業戦略発表会のテーマ ロジクールがLIFORK Harajuku(渋谷区)で行った事業戦略発表会のテーマは「THE NEW LOGIC OF WORK」

ロジクールがオフィス全体を提案するために

 生産性の高い快適なオフィス空間を構築するためには、良いキーボードやマウス、Webカメラなどをそろえるだけでは不十分で、オフィスのデザインそのものや器具、あるいは制度まで見定める必要があるというところにロジクールはたどり着いたということだろう。

 現在のところ、新しいパートナーシップへの参画を表明しているのは、オフィスデザイン・オフィス家具分野でイトーキ、ハーマンミラー、ソーシャルインテリア、スチールケース、ワークプレイス ソリューションズの5社、システムインテグレーター・ITコンサルティングの分野では野村総合研究所だ。

ロジクールONE “with Office”パートナーシップ参画対象 ロジクールONE “with Office”パートナーシップへの参画の対象となるジャンル
オフィスデザイン・オフィス家具分野 オフィスデザイン・オフィス家具ジャンルで参画を表明している5社。それぞれに特徴があり、食い合うことはない

 オフィスデザイン・オフィス家具分野での提携では、それぞれ分野の異なる顧客基盤への営業提案を行うこと、販売パートナーシップとなること、さらに一歩進んで製品開発といった上流部分からのコラボなどをしていく。同じ業種の企業がパートナーシップに参画していても、「協業の仕方はパートナーによって異なる。働く人たちに幸福と安心感を与えたいという共通のミッションを持ち、コンセプトや活動の方向性に共感してもらうことが重要だ」とロジクールの笠原健司社長(代表取締役)は話す。

「ロジクールONE “with Office”」パートナーシップに参画した面々 「ロジクールONE “with Office”」パートナーシップ誕生での想いを語った各社代表。左からハーマンミラージャパン Contract Senior Sales Manager 並木小百合氏、笠原健司社長、イトーキ 常務執行役員 スマートオフィス商品開発本部長 長尾和芳氏、ソーシャルインテリア 取締役 COO 有田崇氏

オフィスは会社そのものではなく働く場所だという新しいロジック

 「コロナ禍を経て、多くの人の働き方への考え方が変わった」──と、笠原社長は話を続ける。従来は月曜から金曜まで、出社して仕事をこなすのが当たり前だったが、今では62%が「オフィスでのフルタイム勤務に戻るのであれば離職したい」と考え、82%がリモートワークを支持するようになった」と変化を説明した。

ロジクール代表取締役 笠原健司社長 ロジクール代表取締役 笠原健司社長
フルタイムは敬遠され、リモートワークが支持されている ロジクールの調査結果

 働き方の変化により、企業が抱える課題も増えている。従業員のモチベーションアップ、ハイブリッドワークにふさわしい環境構築、生産人口の減少に対する優秀な人材の確保や離職率低下の回避などだ。

企業が抱える課題 コロナ禍以降、企業はこれまでにない課題に直面している

 それらを解決するには、場所にとらわれていた旧来の「オフィス」概念を捨て、「働く場所がオフィスである」という新しい考え方を取り込むことが必要だという。

ロジクールのミッション ロジクールでは「場所わ選ばない創造的な働き方の実現」をミッションとして掲げる

 その上で、ロジクールは「イノベーティブな働き方を模索している企業をテクノロジーで支援する」ことをこれからの事業戦略として打ち立てた。

ロジクールの事業戦略 ロジクールが押し出す事業戦略は「イノベーティブな働き方を模索している企業をテクノロジーで支援」するというもの

 これまで、ロジクールといえば、キーボードやマウスなどコンシューマー向けPC周辺機器を開発している企業というイメージが多かった。それを方向転換し、法人ビジネスに目を向けたというのが新たな事業戦略の1つである。

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