こうした話が出てきたのは、Windows Centralでザック・ボーデン氏が「EXCLUSIVE: Microsoft readies 'next-gen' AI-focused Surface Pro 10 and Surface Laptop 6 with Arm chips and design upgrades for 2024」というレポートをまとめていたことに起因する。
表題のSurface ProとSurface Laptopは2023年にアップデートが行われなかった製品ラインだが、2024年をターゲットに投入されるこれらラインアップの新製品では「AI PC」としての性格を備えているという。
同氏は「Surface Pro 10」と「Surface Laptop 6」について、それぞれ現時点で情報源から判明しているスペックなどを紹介しているが、ここでの注目はSurface Laptop 6の方だ。
これまでSurface LaptopはIntelとAMDのプロセッサを適時採用し、いわゆる“クラムシェル型”のMicrosoft製ノートPCという形でリリースされてきた。当初はリファレンスモデルとして新しいフォームファクターの開拓の役割が与えられた他製品とは異なり、デザイン的には従来のノートPCをそのまま踏襲したもので、その一方ではMicrosoftなりの“こだわり”を加えたという点に特徴がある。
決して最先端でも普及価格帯でもないという微妙な位置付けではあるものの、日本国内では企業ユースを中心に根強い需要がある非常にベーシックな製品といえる。
これについてボーデン氏は、Surface Laptop 6で採用されるプロセッサはIntelの14世代のものと、QualcommのXシリーズのものをそれぞれ搭載した2系統の製品が投入されると述べている。
14世代とあるが、実質的に「Meteor Lake」(開発コード名)ことCore Ultraプロセッサの第1世代のことを指しているようで、つまりSurfaceとしては初のNPU標準搭載モデルとなる。
同様に、QualcommのSnapdragon Xシリーズとあるが、同氏によれば内部的に「CADMUS」という開発コード名を与えられているプロセッサで、系譜的には先日ハワイ州マウイ島でQualcommが発表した“Oryon(オライオン)”という新CPUコアを採用した「Snapdragon X Elite」と同等か、姉妹製品だとみられる。
Surface LaptopでArm系列のプロセッサが採用されるのは初で、Microsoft的にArm搭載製品に現在もなお本気だということの証左となる。
ただ、ここでの注目ポイントはむしろ「製品で採用するプロセッサ全てがAI対応を意識したもの」という部分にある。同時にリリースされるSurface Pro 10においてもMeteor LakeとQualcommのXシリーズ系SoCが採用される見込みで、少なくともNPUまたはHexagon(ヘキサゴン:QualcommのAI処理向けプロセッサユニット)のようなAI処理向けの機能をハードウェアで実装している。
Intel系プロセッサでNPUのような機構をSoC内に取り込んだのはMeteor Lakeが初のケースだが、スマートフォン向けのSoCを長らく提供しているQualcommでは、その経緯からAI機能強化を過去数年間にわたって実施してきており、AI機能のハードウェア実装においてはArmの方がむしろ先輩格にあたる。
つまり、ArmをSurface主要製品ライン全てに展開することの意味は、スマートフォンで当たり前となりつつある機能がPC上で実装されるのが自然な流れとなりつつあるということだ。
ちなみに、ボーデン氏はType CoverなどにCopilot機能をクィック起動するためのボタンが搭載される可能性にも言及している。
なお、ボーデン氏は両製品の具体的時期について触れていないが、少なくともQualcomm X Elite搭載製品の登場時期が2024年第2四半期以降になるとみられるため、同年9月前後がそのターゲットになるとみられる。
従来、Microsoftはこの時期にハードウェア製品を発表するイベントを開催しているが、“Windows 12”などの名前でも呼ばれる次期Windowsのお披露目も合わせ、このタイミングで一斉にリリースしてくる可能性が高い。
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