Intelは12月14日(米国太平洋時間)、モバイル向けの新型CPU「Core Ultraプロセッサ」(開発コード名:Meteor Lake)を発表した。一部モデルを除いてPCメーカーへの出荷は始まっており、搭載製品は同日から順次発売される。
Core Ultraプロセッサは、同社初となる「タイルアーキテクチャ(チップレット技術)」を採用するCPUで、主要なアーキテクチャは既に公表済みだ。
Compute Tile(演算タイル)のCPUコアは「Intel 4」(7nm)プロセスで作られており、処理性能重視のパフォーマンスコア(Pコア)は最大6基12スレッド、消費電力重視の高効率コア(Eコア)は全モデル8基8スレッド構成で、SoC Tileにも2基のEコア(LP Eコア)を備えている。
特にEコア/LP Eコア(開発コード名:Crestmont)は、AVX-VNNI命令セットの入出力ポートを従来比で2倍に増やすことで、ニューラルネットワークベースのAI(人工知能)プログラムの処理パフォーマンスを向上している。
GPU Tile(GPUコア)は、モバイル向け第11世代Coreプロセッサ(開発コード名:Tiger Lake)以降から使われている「Xe-LPアーキテクチャ」から、「Xe-LPGアーキテクチャ」に変更された。本アーキテクチャのパフォーマンスは、Xe-LPアーキテクチャのGPU比で最大2倍だという。MicrosoftのAPI「DirectX 12 Ultimate」をフルサポートした上で、AIベースの超解像技術「Xe Super Sampling(XeSS)」にも対応している。
本CPUでは最大8基のXeコアを搭載しているが、実際の製品ではモデルによって4基または7基となる場合もある。GPUの“名称”は、Xeコアの基数とメモリ容量によって以下の通り変わる。
Soc Tile(SoCとして機能するために必要な機能を集めた部位)に収納された「Xe Media Engine」には、H.264/H.265に加えてAV1コーデックのデコード/エンコードに対応するメディアエンジンが統合されている。
Core Ultraプロセッサは、独立したAIプロセッサ(NPU)「Intel AI Boost」を2基搭載している。CPU(VNNI)とGPU(DP4aエンジン)を含めると3種類のAIアクセラレーターを備えているため、Intelは「単に全モデルNPU搭載とするだけでなく、高速化できる演算方法にバリエーションを持たせられた」としている。
また同社によると、Core i7-1360PとCore Ultra 165Hを比べた場合、生成AIのパフォーマンスは最大1.7倍となり、ビデオ会議(Zoom)中の消費電力は最大38%削減され、INT8(8バイト整数演算)の効率は最大2.5倍向上するという。
Core Ultraプロセッサは、DDR5-5600/LPDDR5(X)-7467規格のメモリをサポートする(※1)。搭載可能な容量は、DDR5規格で96GB、LPDDR5(X)規格で64GBだ。
PCI Expressバス/Serial ATAバスの対応リビジョンと最大レーン数は以下の通りだ。
無線通信は、IEEE 802.11ax規格の無線LAN(Wi-Fi 6E)とBluetooth 5.3/5.4をサポートする。Bluetoothについては「Bluetooth LE Audio」もサポートしている。外部モジュール「Intel Wi-Fi 7(5 Gig)」を搭載すれば、IEEE 802.11be規格の無線LAN(Wi-Fi 7、※2)もサポート可能だ。
搭載できる外部ポートは以下の通りで、追加チップを搭載することで「Thunderbolt 5」にも対応可能だ。
映像出力は、Embedded Display Port 1.4B(内蔵ディスプレイ用:HBR3対応)と、DisplayPort 2.1/HDMI 2.1(外部出力用)に対応する。
(※1)BGA Type4 HDIパッケージを採用するモデルはDDR5規格のメモリに対応しない
(※2)Wi-Fi 7はまだ規格として確定していない(確定は2024年後半の見込み)
次のページでは「Intel Evo Editionプラットフォーム」の説明と、Core Ultraプロセッサのラインアップを紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.