AdDuplex亡き今、Windows 11のバージョン別シェアを把握する方法は複数の方法から総合的に判断するのに頼らざるを得ないが、StatCounterのデータを引用して12月1日時点でのシェアを26.66%とする報道もある。
経験則だが、StatCounterのデータは実数よりやや低めに出る傾向があるため、3割前後が推測値とみておけばいいだろう。3割が多いのか少ないのかは微妙なところだが、本来Windows 10の“大型アップデート”ではリリースから約2年でサポートが切れるので、従来であればリリースから2年が経過したOSはそのシェアが半数を超えていないとまずいと思われる。まだ「移行が本格化していない」というのが筆者の意見だ。
Windows 10のサポートは2025年10月14日で終了するが、そこまで2年を切った現在、Microsoftからは一般ユーザーも含めた「ESU(Extended Security Updates)」の提供が発表されているが、Windows XPのころではないにせよ、Windows 10終了日からの視点で過去10年をみれば一番移行に混乱をきたす可能性があるとみている。
先日、Canalysが「Windows 10のサポート終了時に2億4000万台の廃棄PCが出る可能性がある」とのレポートを報じていたが、少なくともそれに準じた移行時の混乱模様が見られることだろう。
ある意味では英断だったと思うが、TPM対応やプロセッサの世代で旧世代PCを一気に“門前払い”したことは、ハードウェアの“モダン化”を進めた一方で、ユーザーにPCの資産としての“はかなさ”を示すことにもつながった。
もし、次期WindowsにおいてAI機能搭載を必須要件としてPCハードウェアを指定した場合、さらにどれだけのPCが切り捨てられることになるだろうか。コロナ禍におけるテレワークの普及で一気にPCの買い換えが進んだ経緯もあり、現在PC業界は売上不振に苦しんでいる。
Windows 10のサポート終了にともなう買い換え需要に期待する声もあるが、つい2〜3年前に買ったばかりのPCが動作対象外となるのは論外だろう。冒頭や前回のレポートでも触れたが、Microsoftでは今回のAI対応は動作要件には含まず、あくまでWindows 11で指定している最低動作要件を維持してくる可能性が高いと筆者はみている。
一番問題となるのはメモリ容量だが、4GBのままでいくのか、8GBへの引き上げを行うのか、次期Windowsのリリース時期が近付くタイミングまで注視していきたい。
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