x86初のAIプロセッサ「Ryzen AI」は何がスゴイのかAMDが説明 市場投入第1弾は「Razer Blade 14」搭載モデルはまもなく登場

» 2023年06月15日 00時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 AMDの最新モバイル向けAPU(GPU統合型CPU)「Ryzen 7040シリーズ」は、エントリーモデルを除いてCPUコア/GPUコアから独立した「Ryzen AI」というAIプロセッサを備えている。

 同社はこのほど、Ryzen 7040シリーズの上位モデル「Ryzen 7040HSシリーズ」の説明会においてRyzen AIの概略を説明した。このプロセッサは、どのような特徴を持っているのだろうか。

Ryzen AI Ryzen AIとはどんなもの……?

Ryzen AI=XDNAアーキテクチャを採用したAIプロセッサ

 Ryzen AIは「AMD XDNAアーキテクチャ」に基づく機械学習演算に特化したプロセッサである。

 XDNAアーキテクチャ自体は、AMD傘下のXilinx(ザイリンクス)が開発したもので、AIエンジン(演算部)とメモリのユニットが脳の神経回路を模した「ニューラルネットワーク」で連結されていることが特徴だ。

エンジンの概略 従来のマルチコアCPUのアーキテクチャ(左)と、XDNAアーキテクチャ(右)の違いを図示したもの。XDNAアーキテクチャでは、1つ1つのAIエンジンがメモリを有しており、AIエンジンとメモリのユニットがニューラルネットワークを介して連結される設計となっている
フレキシブル XDNAアーキテクチャでは、処理階層(レイヤー)を柔軟に割り振れる

 今回のRyzen 7040シリーズの場合、「4基のAIエンジンタイルと1基のメモリタイル」を5セット搭載しており、それぞれのセットはDMA(ダイレクトメモリアクセス)を使って相互に通信できる。AMDによると、最大4つのニューラルネットワークを構築し、それぞれを並列させて演算を進められるという。

 APU上の他のプロセッサ(CPUコアやGPUコア)やシステムメモリとの通信は、データファブリック(連結回路)を介して行うようになっている。ピークパフォーマンスは10TOPS(1秒当たり10兆回)とのことだ。

Ryzen AI Ryzen 7040シリーズのRyzen AIは、XDNAアーキテクチャの「AIエンジン4基+メモリ1基」を5基連結して構成されている

Ryzen AIは「Windows 11」で活用可能(ただしメーカー次第)

 新しいRyzen PROの記事でも少し触れたが、Ryzen AI搭載のRyzen 7040シリーズを備えるノートPCは、Windows 11(バージョン22H2)以降で利用できる「Windows Studio Effects」に対応する。具体的には、Webカメラにおける「自動フレーミング」「アイコンタクト」「背景エフェクト」をOSレベルで設定できるようになる。

 ただし「対応できる」というのが重要なポイントで、実際に対応するかどうかはモデル次第となる。Ryzen AI搭載のRyzen 7040シリーズを備えていても、Windows Studio Effectsが無効化されているモデルもありうるので、対応しているかどうかはメーカーに確かめてみてほしい。

WSE Ryzen AI搭載Ryzen 7040シリーズを備えるノートPCでは、Windows Studio Effectsを有効化できる。ただし、実際に有効化されるかどうかはモデル次第なので、詳細はメーカーに問い合わせてほしい
WSE Windows Studio Effectsを使って、Webカメラの背景ぼかしを行っている様子

 Ryzen AIを生かすためには、アプリ側の対応も重要だ。

 昨今ではプライバシー保護の観点からデバイス側で機械学習演算を行う、いわゆる「オンデバイスAI」のニーズも高まっている。AIアシスタントはもちろんのこと、クリエイター向けアプリやゲームアプリでもオンデバイスAIの利活用が進むと考えられる。

 Ryzen AIを幅広く活用してもらうべく、AMDでは2023年第4四半期(10〜12月)に統合AIスタックをリリースする予定だという。このスタックは「ONNX」「TensorFlow」「PyTorch」で構築された機械学習モデルを利用可能で、XDNAアーキテクチャをフル活用できるようにもなるという。

デバイスAI オンデバイスAIのニーズは次第に高まっている
デバイスAI 発売当初、Ryzen AIの機能を利用できるのはMicrosoftを含む限られた開発者のみとなるが、2023年第4四半期に登場予定の統合AIスタックを利用することで、幅広い開発者が利用できるようになる

Ryzen AIの初号機は「Razer Blade 14」

 AMDによると、全モデルがRyzen AIを備える「Ryzen 7040HSシリーズ」を搭載するノートPCは順次発売されるという。

 その第1弾は、Razerの14型ゲーミングノートPC「Razer Blade 14(2023年)」で、米国では6月14日から販売予約を受け付け、同月20日に発売される予定だ。価格は2399.99ドル(約33万6000円)からとなる。

ラインアップ Ryzen 7040HSシリーズを搭載するノートPCは、主要なPCメーカーから順次発売される。初号機は、左上にあるRazer Blade 14(2023)だという
概要 Razer Blade 14の概要。もちろんRyzen AI対応で、Windows 11のWindows Studio Effectsも有効だ

 Razar Blade 14は、APUが「Ryzen 9 7940HS」(8コア16スレッド)、GPUが「GeForce RTX 4070 Laptop」となっている。放熱設計に工夫を凝らすことで、GPUのTGP(最大消費電力)は140Wまで引き出せるようになっている。

 それでいて、ボディーサイズが約310.7(幅)×228(奥行き)×17.99(厚さ)mm、重量は4.05ポンド(約1.84kg)と「今までのRazer Bladeよりも薄型」である。ボディーカラーはブラックとマーキュリー(シルバー)から選択可能だ。

独立GPU 独立GPUは「GeForce RTX 4070 Laptop」となる
冷却 放熱設計に工夫を凝らすことで、薄型化を進めつつ排熱効率を向上することに成功したという

 メモリはDDR5-5600規格のSO-DIMMで、最大で64GB(32GB×2)まで拡張できる。SSDはPCI Express 4.0接続だ。

 ディスプレイはWQHD+(2560×1600ピクセル、アスペクト比16:10)の液晶で、リフレッシュレートは最大240Hz、応答速度は3ミリ秒、最大輝度は500ニトとなる。

 WebカメラはフルHD(1920×1080ピクセル)撮影対応で、プライバシーシャッターも備えている。

メモリ交換OK 薄型設計ながら、メモリは換装可能な設計となっている
ディスプレイ 液晶ディスプレイは明るく高速なものを採用している

 ポート類は、左側面に電源入力端子、USB 3.2 Gen 2 Standard-A端子、USB4端子とイヤフォン/マイクコンボ端子を、右側面にはUSB4端子、USB 3.2 Gen 2 Standard-A端子、HDMI 2.1出力端子を備えている。無線通信は、Wi-Fi 6EとBluetooth 5.2に対応する。

 バッテリーの容量は68.1Whで、最長で10時間駆動するという。

ポート類 薄型でも必要と思われるポート類はしっかりと備えている
バッテリー駆動時間 バッテリー駆動時間は最長10時間となる(メーカー測定値)
キーボード回り キーボードはキー単位のライティングに対応している。先代モデルと比べてタッチパッドが1.5倍の面積になったことも特徴である

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