AMDは4月6日(米国太平洋時間)、動画エンコードに特化したメディアアクセラレーターカード「Alveo(アルベオ) MA35D」を発表した。カードはPCI Express 4.0/5.0 x8形状で、サンプル出荷は既に開始されている。量産出荷は2023年第3四半期(7〜9月)を予定しており、想定価格は1枚当たり1595ドル(約21万円)だ。
Alveo MA35Dは、AMD傘下のXilinx(ザイリンクス)が開発したメディアアクセラレーターカード「Alveo U30」の後継製品となる。
Alveo U30は動画のトランスコード(デコード→スケーリング(解像度変換)→エンコード)をハードウェアベースで支援するカードで、動画配信サービスに用いるサーバに搭載することを前提にしている。同カードでは「ASIC(目的特化型の半導体)やGPUソリューションと比較して、高密度で圧縮効率が良い」という理由で、FPGAパッケージのVPU(映像処理プロセッサ)を採用していた。
それに対してAlveo MA35Dは、Web会議(ビデオ会議)やゲームストリーミングなど「多対多」でのトランスコードが増えつつある現状を意識して、アーキテクチャの変更を行っている。例えば、「コストや消費電力を抑制」するために、VPUをASIC(5nmプロセス)に改め、2基搭載した。これは「カード1枚当たりの処理能力を向上するための措置」だ。
また、ASICには「AIプロセッサ」も搭載されている。このプロセッサは、スケーリング後の動画をフレーム単位で解析し、エンコーダーのパラメーターを動的に制御することで出力される動画の画質を最適化するという。
サポートする動画形式は、従来からの「H.264(AVC)」「H.265(HEVC)」に加えて「AV1」の3形式となっている(デコードは「VP9」も可能)。エンコーダーはVPU1つ当たり4基搭載しているが、うち2基はAV1形式“専用”となっており、負荷の大きい同型式のエンコードを迅速に行えるように
Alveo MA35Dに搭載されているVPUのブロック図。これを2基搭載することで、カード1枚当たりのトランスコード能力を向上している。なお、このVPUに搭載されている「Quad-Core Microprocessor(4コアCPU)」はRISC-Vアーキテクチャで、カード全体の制御を担っているという具体的な処理能力だが、U30と比べると以下の通り改善しているという(いずれもカード1枚当たりのパフォーマンス)。
(※1)U300はH.264、MA35DはAV1フォーマットを利用した場合の比較
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