AMDは11月10日(米国太平洋時間)、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)とデータセンターに収容するサーバ向けの新型CPU「EPYC 9004シリーズ」(第4世代EPYC、開発コード名:Genoa)を発表した。製品の出荷は既に開始しており、パートナー企業を通して同CPUを組み込んだシステムなどが順次発売される予定だ。
「第4世代EPYC」ことEPYC 9004シリーズが登場する
第4世代EPYCのチップを手にするリサ・スーCEO
第4世代EPYCは、デスクトップPC向けのRyzen 7000シリーズと同じくCPUコアに「Zen 4アーキテクチャ」を採用した。最大12基のCCD(Core Complex Die:CPUコアとL3キャッシュを統合したダイ)を連結することで、1基のCPUで最大96コア192スレッドを実現している。もちろん、同アーキテクチャでサポート対象に加わった「AVX-512」命令も利用できる。CPUソケットは新しい「Socket SP5」となる。
そのパフォーマンスは先代の「EPYC 7003シリーズ(第3世代EPYC)」比で最大で1.9倍処理パフォーマンスを実現しているという。また、競合の第3世代Xeonスケーラブルプロセッサと比べると処理パフォーマンスは最大2.8倍(処理内容によっては3倍)、単位電力当たりの処理効率は最大2倍向上したとのことだ。
Zen 4アーキテクチャのCCDを最大12基連結することで96コア192スレッドのCPUを作り上げることに成功した。チップの中央にあるのはInfinity Farbric(I/Oダイ)で、その左右にあるのがCCDだ
第4世代EPYCの最上位モデル「EPYC 9654」(96コア192スレッド)、先代の最上位「EPYC 7763」(64コア128スレッド)、競合の現行最上位「Xeon Platinum 8380」(40コア80スレッド)をそれぞれデュアルCPU構成でテストした結果。Xeon Platinum 8380を基準とした場合、EPYC 9654は最大で3倍のパフォーマンスを発揮できるという
その他、第4世代EPYCは以下の特徴を備えている。
- CPUの最大クロックは4.4GHz
- L2キャッシュ容量はCPU1コア当たり1MB(最大96MB)
- L3キャッシュ容量はCCD1基当たり32MB(最大384MB)
- メモリはDDR5-4800規格をサポート
- 最大12チャネル、1ソケット当たり最大6TBまで搭載可能
- PCI Express 5.0は最大128レーン(x16レーン×8本)
- デュアルCPU構成の場合、合計で最大160レーン(x16レーン×10本)となる
- レーンの一部をSerial ATAレーンまたはCXL 1.1+レーンに振り替えることも可能
第4世代EPYCの主な仕様
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