2021年10月のWindows 11の一般向けリリースからもう少しで2年が経過しようとしている。2025年10月にはWindows 10のサポート期間も終了するため、そろそろ移行を見据えた計画が必要な時期に突入しつつある。
約1年前になるがAdDuplexが公開したデータによれば、Windows 11のシェアはWindows 10ならびに11を含んだ2つのOS全体に対して23.1%、つまり約4分の1程度を占めていた。
後述するが、AdDuplexは同データを公開した2022年6月時点でWindows OSのバージョン別シェア集計を止めてしまっており、同じ情報ソースで比較できるデータはないものの、いくつか異なる情報源を基に考えてみたい。
1つはブラウザシェア比較ではおなじみのStatCounterだ。「Desktop Windows Version Market Share Worldwide」というカテゴリーがあり、macOSなどを抜いたWindows OSのみのシェア集計を確認できる。例えば、最大勢力であるWindows 10のシェアが2022年6月時点で73.45%だったものが、2023年6月には71.09%となっている。1年間で多少変動はあるものの、微減にとどまる。
対して他のWindows OSでは大きな変化が見られる。既にサポートが終了しているはずなのだが、Windows 7は2022年6月時点で11.54%だったシェアが2023年6月には3.43%まで減少している。一方で、2022年6月時点では10.96%とシェアで負けていたWindows 11だが、2023年6月には23.93%まで増加している。
StatCounterのデータでWindows 10と11のシェアのみに注目し、両者のシェアを足してWindows 11のシェアの比率を求めると、2022年6月時点でのWindows 11のシェアは12.98%で、これが2023年6月には25.18%とおよそ倍増している。
AdDuplexと直接比較できるデータがないのであくまで傾向と捉えるしかないが、「1年間で倍近く増加した」というのはそれほど間違った見方ではないだろう。
両者の違いは、集計を行っている“エージェント”の分布や集計ポリシーによる差なので、観測点を増やすほどその実態に迫りやすい。例えば7月初旬にはNeowinが「Valve: Windows 11 is getting closer to Windows 10 on Steam」という記事を出していたので、SteamでのクライアントOSバージョン集計も参考にしてみた。
同ゲーム配信プラットフォームでは2023年6月時点でのユーザークライアントの96.77%がWindowsを利用しており、全体のシェアのうち59.43%がWindows 10、35.75%がWindows 11となっている。
Windows 10と11のみに着目した場合のWindows 11のシェアは37.56%となり、StatCounterのデータよりも高い。Steamの傾向として、OSバージョンをなかなか上げないビジネスユーザーと比較して新OSへの移行が早く、ハードウェア自体も比較的スペックが高めとなりやすいため、移行自体のハードルが低い。
後はゲームソフトのOS対応状況次第だが、全体にWindows 11のシェアが世間一般に比べて高めに出ると見ている。実データがないのであくまで推測だが、Windows 11のシェアが高く出る順に並べると、Steam/AdDuplex/StatCounterのような順になるのではないかと考える。
さて、今回たびたび言及しているAdDuplexだが、2023年8月1日時点でビジネスを終了する旨が予告されている。公式Blogでも報告されているが、クロスプラットフォームでの広告配信システムとして2011年にスタートした同社だが、ここ数年は業界やコミュニティーの縮小と戦いながらビジネスを継続してきた経緯があり、苦渋の決断という判断だったようだ。
2011年というとWindows 8登場の前年であり、モバイルプラットフォームとしてWindows Phoneが先行してインターネット時代の新しいOSプラットフォームの覇権を狙っていたころだ。
実際、当時としては最大勢力だったWindowsを中心に据えたビジネスを展開してきたAdDuplexだが、結果として広告配信プラットフォームとしてのWindowsが立ち上がらなかったことの証左になってしまったのかもしれない。クライアントOSそのものにはこだわらないというMicrosoft自身のビジネスモデルの変化もあり、その役割を終えたといったところだろう。
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