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AIとMicrosoftとWindowsの関係をBuild 2023の発表で理解するWindowsフロントライン(1/3 ページ)

» 2023年05月29日 12時00分 公開

 米Microsoftの開発者会議「Microsoft Build 2023」が5月23日〜25日(米国時間)までの日程で開催された。コロナ禍に突入した2020年以降、同カンファレンスはオンラインでのバーチャル開催が続いていたが、今回は米ワシントン州シアトルの「Wishington State Convention Center」をリアル開催の会場に、オンラインを組み合わせたハイブリッド形式での4年ぶりの大規模イベントとなっている。

 発表内容に関しても、2023年から続いているOpenAI絡みの開発者向け情報が新たに多数公開された他、Windowsクライアント向けの新しいトピックとしては「Windows Copilot」が発表されるなど、ある意味で“AIづくし”の発展系にあるお披露目の場となっている。

 Buildでの発表ではないものの、長らくリリースの話がささやかれていた「Moment 3」の配信が、Build開催期間中の5月24日(米国時間23日)に「KB5026446」の型番でセキュリティパッチではない機能アップデートとして行われている。

Microsoftが「Windows Copilot」を発表 Microsoftが「Windows Copilot」を発表

 このようにコンシューマーからエンタープライズ、開発者向け情報まで幅広いトピックが出てきた2023年のBuildだが、周辺情報の整理も含め、今MicrosoftとWindows周辺で起きていることを簡単に整理しておきたい。

Windows Copilotのような仕組みが標準搭載される意味

 Microsoftでは「LLM(大規模言語モデル)」を使った対話型インタフェースを提供する製品群に「Copilot」の名称をつけてシリーズ化しているが、「副操縦士(Copilot)」という名称もなかなか絶妙で、主体はアプリケーションを操作するユーザー自身にありながら、必要な情報はCopilotが“Generative AI”の機能を生かして集めて整理し、主体たるユーザーの行動を手助けするという仕組みになっている。

 従来であれば、アプリケーションの操作や周辺情報に熟知して、その技能を生かして課題解決にあたっていたものが、“Copilot”の存在により最小限のステップで核心となる情報へとアクセスし、課題解決に集中できるようになる。

 これが意味するのは、仮に操作や情報に精通していないユーザーであっても、ある程度の作業はCopilotのアシストにより課題解決が可能になる他、その道のプロが利用すればさらに短いステップでの作業ができるだけでなく、より広範な課題解決が行えるようになる可能性を秘めている。

 「プロとの差を埋める技術」のようにうたわれることもあるLLMを使った“Generative AI”だが、実際には全体の底上げをしつつ、元々のプロにはさらに高度で大量の作業を実現する道を開くものと考えた方がいいかもしれない。

 では、今回の「Windows Copilot」はどのような位置付けで、どういったことを可能にするのだろうか。過去のCopilotシリーズがそうであったように、ベースとなるアプリケーションやサービスの補助機能として動作する。

 タスクバー上に出現するWindows Copilotのアイコンをクリックするとサイドバーにチャットウィンドウが出現し、そこからAIアシスタントを通じて各種質問に加え、操作が間接的に行えたり、あるいは文章ファイルを投げることで要約を行わせたりと、ChatGPTやBing Chatが持つ基本機能に加え、Windowsのシステムと密に連携が可能になる。

 この機能について、「『お前を消す方法』で有名なOfficeアシスタントの復活」や、「Cortanaさん息してる?(既にいない)」といったコメントが散見されたが、そうした過去のアシスタント機能群が“Generative AI”の底上げで復活したといえばその通りだろう。

Windows Copilotの動作例 Windows Copilotの動作例

 考えてみれば、過去にMicrosoftがCortanaをベースにした機能として、Windows上(あるいはAzureを通じた各種デバイス)で本格的に対話型ユーザーインタフェースを志向し、そのビジョンを発表したのが7年前の「Build 2016」でのことだ。Cognitive Servicesで機械学習の周辺サービスを整備し始めたのもその時期である。

 当時との違いといえば、Transformerという新しい言語モデルを採用した「GPT」という膨大なデータをベースに学習モデルを用意した点だが、一般世間を騒がせる程度には“使える”レベルのものがようやくやってきたといった段階だ。

 つまりMicrosoft自身は「対話型UIには未来がある」という構想自体はずっと抱いていたものの、技術が追いつくまでにこれだけの期間がかかったということだ。

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