アイロボットジャパンは2月5日、「住環境における花粉対策 メディア向けセミナー」を開催した。これは同社が2023年10月20日に発売した空気清浄機「Klaara p7 Pro」が、花粉症対策に有効であることを紹介するイベントだ。
本イベントでは、ゲストとして耳鼻咽喉科の石井正則医師(地域医療機能推進機構 東京新宿メディカルセンター所属)が登壇し、花粉症対策のキモとなる「対流花粉」について解説した。
在宅ワークが続く昨今、花粉シーズンが本格化する前に、ぜひこのレポートを参考にしてみて対策を検討してみてほしい。
国民病といわれる「花粉症」。正確にいうと、花粉症は植物の花粉に対するアレルギー反応の総称で、特にスギ花粉アレルギーの罹患(りかん)者は多いとされている。
環境省が公表している「花粉症環境保険マニュアル2022」(PDF形式)によると、国内で花粉症に罹患している人は、2019年時点で42.5%で、10年ごとに10ポイントずつ増加している状況だという。
花粉症に悩む20代から60代(計1146人)を対象にした調査を行った石井医師は、「(調査対象の)7割以上が自宅での花粉症の症状が屋外と同等、もしくはそれ以上につらいと答えている」と説明する。「53.1%という半数以上の人は『(花粉からの)逃げ場がない』とも感じていることが分かった」という。
花粉症の弊害は、勉強や仕事に支障をきたすことの他(罹患者の7割以上)、睡眠不足(半数以上)、判断力低下(6割以上)、メンタルの不調(約4割)、服薬によるパフォーマンス低下(約半数)……と、公私を問わず生活にマイナスの影響を与えてしまう。
石井医師によると、「スギ花粉に悩む人は、ヒノキ花粉、ダニやハウスダスト、ブタクサにもアレルギー症状を示す割合が約70%で、スギ花粉による鼻水、鼻づまり、目のかゆみが最もつらいと感じる人が約70%に達している」といい、「これを独自に“スギ花粉のクアッド70”と呼んでいる」と解説した。
ある意味でスギに対するアレルギー反応が諸症状の“トリガー”となっているので、そもそも花粉症を発症させないことが望ましい。しかし、従来は小学生(6〜7歳)以上から発症するという定説のあった花粉症も、最近では4〜5歳で発症してしまうケースも見受けられるそうだ。
調査によると、子どもにおける花粉症の発症率は、両親が花粉症の場合55〜60%、一人親では30〜50%となっており、遺伝的な要素が関係していることは分かっているという。しかし、石井医師は「とはいえ、環境的な要素も見過ごせません」と語る。「大人も子どもも『(花粉を)吸わない、触らない、近づかない』を徹底することが重要」と解説した。
花粉に触れさせない花粉症対策には、何があるだろうか。石井医師は「『対流花粉』がキーワード」と語る。
「外では、マスクをするなどして防御していても、家の中は盲点となりがちです。外から持ち込まれた花粉がその重みで床に落ち、人が歩くことで舞い上がる。花粉が床と空間を行ったり来たりと“対流”することで、やがてワタボコリのような塊となります。これが一度の刺激(振動)で大量に舞い上がると、花粉症の人を苦しめることになりますし、家の中にいても花粉に触れる機会を与えてしまうことになります」
花粉を家に入れないために、まずできることが「花粉を家に入れないこと」だ。「換気のため窓を開ける際は、レースのカーテンを使うと、室内に入る花粉を約75%程度抑制できます。また、布団の外干しはしない、外出先から室内に入る際には花粉を払う、などの対策が有効です」と、今すぐできる対策について説明した。
では、既に入り込んでしまった花粉への対策は、どのようにすればよいだろうか。
石井医師は「根本的な対策は花粉の舞っている空気を、空気清浄機を使ってきれいにする、そして床にへばりついた花粉を掃除機で吸って除去すること」とした上で、「どちらか一方に頼るのではなく、空気と床、両方のケアを同時に行うことが重要」と強調した。
この対策は、花粉の多さにかかわらず徹底した方が良さそうだ。
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