さて、肝心のペンをチェックしていきましょう。本機は新世代の「PenTech 4.0」ペンシステムを採用しています。自分は「PenTech 3.0」の板タブを持っているので直接比べられますが、以下の点が向上していると感じました
特に強い筆圧は先代までの弱点で、強い力で線を安定させたりダイナミックに強弱を付けたりしたいときにはあまり余裕がありませんでした。この点は改善を期待していましたが、期待通り満足できるレベルになったと思います。
軽い筆圧については、本機は狙った薄さが連続して出せる感覚が向上していて、古い方はちょっと揺らいでいたんだというのに気づいた感じです。
ジッターや妙なクリック感などはもう昔の話になっているので、ペンの基礎的な描きやすさの面ではほぼ不満がなくなりました。そろそろレビュワー廃業ですね。
ただ、全てにおいて違和感がなかったかというと、そうでもないです。
遅延については、たぶんディスプレイ内部での遅れだと思いますが、主にペンやタッチでスクロールしたときにモッサリ感が出やすいです。試しにワコムの「Cintiq Pro 17」を60Hzに落とした状態でペン遅延を比べてみると、やはり60分の1ぐらい遅れています(Cintq Pro 17を120Hzで動かせばもっと差が出ます)。
これはおそらく、自分が以前使っていた「Cintiq Pro 16 前期モデル」と同程度のはずで、気分はともかく作業に支障があるというほどでもないと思います。遅延が気になりがちな人は実機を見て判断するのをおすすめします。
カーソルずれについては、不思議なことに上下/左右方向に傾けたときにはずれず、それ以外の角度に傾けるとずれてきます。かなり深く傾けないと大きくはずれないですし、仮に気になったとしても自分が普段ペンを持つ角度で座標キャリブレーションをし直せば良いだけなので、実用上の問題にはなりづらいと思います。本機を検討しているならば一応、知っていれば使用感を改善できるかもしれないとだけ覚えておいてください。
また、筆圧の平滑化処理のせいか、素早く文字を書くと少しヒゲが出やすいようでした。絵を描く時にはほとんどの場面で影響ないと思いますが、素早いハッチングをたくさん描きたい人はチェックしておくとよさそうです。
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