続いてDeskMini X600の内部にパーツを搭載していこう。まずケースを開けるには背面4隅のネジを外す。ネジを外せばスライド式にマザーボードベースを引き出せる。フロントパネル用のケーブルだけはケース側と接続されているので、これを外せばマザーボード上へのパーツの装着が楽になる。
マザーボードはMini-ITXよりもさらに一回り小さいが、AM5ソケットにM.2スロット(PCI Express Gen 5 x4)、2本のSO-DIMMスロットといった具合で構成は同じだ。高密度に感じるが、実際に組んでみるとそこまで窮屈感はない(あくまでMini-ITX比だが)。
なお、マニアな方にはMOSFETなどの部品をじっくり堪能していただきたい。チョークの数から6フェーズと思われるが、その裏を見るとタンタルだろうか、薄型のMOSFETが19個並んでいる。たぶん、これをおかずに白飯3杯いけるマニアもいるだろう。
サポートしているCPUについては、AM5のRyzen 8000G/7000シリーズで、かつTDPが65W以下だ。ただし多くの理由から、実質的にはRyzen 8000Gシリーズが本命と思われる。Ryzen 7000シリーズでは、末尾「F」以外には統合GPUが搭載されたものの、性能は必要最低限だ。
プリントサーバのような使い方ならそれでもよいが、デスクトップPCとして利用するには少々キビシイ……。一方のRyzen 8000Gシリーズは統合GPUとしてはかなり高性能ではある。グラフィックスカードを搭載できないDeskMini X600なので、統合GPU性能の高さを選択の基準とするのがよいだろう。
DeskMiniシリーズが、他のミニPCに対して大きくアドバンテージを持っているのが、ストレージの拡張性だ。マザーボードベース裏には2.5インチシャドーベイを2基備えている。また、マザーボードベースからマザーボードをいったん取り外せば、2番目のM.2スロット(PCI Express Gen 4 x4)にアクセスできる。トータル2基のM.2 SSD、さらに2基の2.5インチSSD/HDDを搭載できるのは、通常このサイズのミニPCでは考えられないだろう。
それでは今回試しに組んでみたDeskMini X600のパーツリスト(OSなどは別)を紹介しよう。
ハイパフォーマンスでもミニマルでもなく、Ryzen 5を中心としたメインストリーム向けのスペックだ。上記構成での予算は12万円前後となる。下2つについてはカスタマイズパーツなので省くのもアリだ。その場合で11万円前後になる。
CPUやメモリ、ストレージが組み込まれて販売されている完成品のミニPCと比較してコスパどうか、気になる方は多いと思う。
実機がないので実売価格ベースの調査だが、同じZen 4世代でRyzen 5搭載モデルは10万円前後(クーポンは除外する)のようだ。OSの価格も含めると2〜2.5万円程度、DeskMini X600の方が高くなるだろう。ただ、性能という点では完成品ミニPCがモバイル向けCPUであるのに対し、DeskMini X600はデスクトップ向けCPUを搭載する。パフォーマンスは1つ上のクラスとなるので、同じ性能の完成品ミニPCを求めるなら1つ上のCPU……という具合で価格差は小さく、あるいは逆転することもあるだろう。筆者なら自作PC気分を味わえるDeskMini X600のロマンを選びたい。
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