ASRockの「DeskMini X600」には自作PC気分を手軽に味わえるロマンあり! “小さな”実機をじっくり検証した(5/5 ページ)

» 2024年06月25日 12時00分 公開
[石川ひさよしITmedia]
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 それでは今回組んだDeskMini X600のパフォーマンス測定といこう。

 PCMark 10 Extendedベンチマークのスコアは6817ポイントとなった。EssentialsとProductivityについては1万1000ポイントを超えるスコアで軽快だ。一方、Digital Content Creationについては8616ポイント、Gamingは5519ポイントだった。この2つはGPU性能の依存度も大きい。統合GPUとして考えれば比較的高スコアだが、3Dコンテンツ制作や3Dゲームをメイン用途にするには力不足だ。

  • Extended score:6817
  • Essentials:1万1068
  • Productivity:1万1088
  • Digital Content Creation:8616
  • Gaming:5519

 3DMarkでは新規追加されたSteel Nomad Lightで2231ポイント、Solor Bayで9224ポイント、伝統的なDirectX 11テストのFire Strikeが6374ポイント、軽量なWild Lifeで1万3029ポイントというスコアだった。

 ポータブルゲーミングPCが近いスコアになるので、フルHDでなくHD(1280×720ピクセル)、画質設定から可能な限り軽量な設定を適用できれば、60fpsをクリアできるかもといった感触だ。

  • Steel Nomad Light:2231
  • Solor Bay:9224
  • Fire Strike:6374
  • Wild Life:1万3029

 実際のゲームではどうかと言うと、例えばSTREET FIGHTER 6 Benchmark ToolでV-SYNCオフにして計測すると、LOW(1920×1080ピクセル)設定で93/100点とまずまず快適にプレイできそうなところ、LOWEST(1280×720ピクセル)設定なら100/100点が得られた。

  • LOW(1920x1080):93点
    1. FIGHTING GROUND:59.04(60fps上限)
    2. BATTLE HUB:66.86(120fps上限)
    3. WORLD TOUR:52.40(120fps上限)
  • LOWEST(1280x720):100点
    1. FIGHTING GROUND:59.96
    2. BATTLE HUB:104.71
    3. WORLD TOUR:80.16

 また、ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでは「1280×720ドット」設定なら高品質(ノートPC)で9070ポイント、平均65.6fpsで「快適」評価を得られたが、「1920×1080ドット」設定では標準品質(ノートPC)で6901ポイント、平均47.6fpsで「やや快適」評価にとどまった。

 3Dゲーム性能を向上させる方法はある。統合GPUが強力なRyzen 7 8700Gを組み合わせるプランだ。コアがRyzen 5 8600Gの6コア→8コアに増えるだけでなく、グラフィックスコア数が8基→12基に増え、グラフィックス周波数も2.8GHz→2.9GHzに向上する。CPUだけ交換した3DMarkスコアで見ると以下の通りだ。

  • Ryzen 7 8700G
    1. Steel Nomad Light:2739
    2. Solor Bay:1万471
    3. Fire Strike:6469
    4. Wild Life:1万3176
  • Ryzen 5 8600G
    1. Steel Nomad Light:2231
    2. Solor Bay:9224
    3. Fire Strike:6374
    4. Wild Life:1万3029

 また、こうした統合GPUにおいてはメインメモリのパフォーマンスが大きく影響する。しかし、DeskMini X600はSO-DIMMなのでデスクトップ向けDIMMほどOC(オーバークロック)メモリの選択肢が豊富ではない。ただ、自己責任でOCすることは可能だ。DeskMini X600のメモリに関するBIOS項目は他のASRockマザーボードに近く、クロックやレイテンシを詰められる。

 最後にDeskMini X600付属のCPUクーラーとNH-L9a-AM5との違いを紹介しよう。まずPCMark 10 Extended実行中の温度グラフを見る限り、付属CPUクーラーの方が若干高いシーンもあるが、そこまで顕著な差はなかった。冷却性能という点では付属CPUクーラーでも冷やしきれる。

 一方、動作音については大きな開きがある。付属CPUクーラーはアイドル時やCPU高負荷時のCINEBENCH R23、GPU高負荷時のFFXIVベンチマーク、いずれも40dBA台だったのに対し、NH-L9a-AM5は30dBA台となった。

 NH-L9a-AM5には静音化アダプターも付属するが、今回は使用していない。使用せずとも30dBA台だった。40dBAでもそこまで爆音というほどうるさくはないが、30dBA台は夜間も気兼ねなく運用できるレベルの静かさだ。

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 カスタムパーツでガラッと性格が変わるところが、組み込み済みミニPCではできない自作ミニPCの楽しみ方だ。もちろん付属CPUクーラーでコストを抑えるのもアリ。しばらく付属CPUクーラーで運用しつつ、やっぱり静かな方がよいという結論に至ったならCPUクーラーを交換してみるといった2段階プランも可能だ。

パーツ選びやカスタマイズ、お手軽なのに自作PCの醍醐味を味わえる

 DeskMini X600はミニPCなのでサイズ由来の制約があるとはいえ、主要なパーツについては自分好みのものを組み込める。ベアボーンだからいくつかのステップを省いて簡単、短時間で組み立てられるということもあり、気張ることなく自作PCを楽しめる。

 熱量やバランスを考えると今回のようなメインストリーム構成がベターだが、Ryzen 7やPCI Express Gen 5 x4のSSD、大容量メモリを組み合わせてこのサイズでの最高性能を狙ってみるのもいいだろう。

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 パーツの選択や、CPUクーラーやLEDといったカスタマイズによって、自由に個性的なPCを組み立てられるところも組み込み済みミニPCにはない楽しみ方だ。今回は純正カスタムパーツとしてDeskMini Addressable LEDを用いたが、その他にUSBハブやUSB 2.0ポート増設キット、Wi-FiキットなどがASRockから販売されている。DeskMini X600にはDeskMini X600Wというホワイトモデルもあるのでそちらもチェックしよう。

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