ここでGPU-Zのステータスに着目したい。次のパフォーマンス検証に関わってくるところだからだ。
GPU-Zのスクリーンショットで注目してほしいのはブーストクロックの値だ。本機は1605MHzとなっている。NVIDIAのWebサイトでGeForce RTX 4050 Laptop GPUのブーストクロック仕様を見ると、1605〜2370MHzなので、仕様内だが最も低いクロックの設定であることが分かる。
パフォーマンスを求めるゲーミングノートPCなどでは、性能の高い2370MHzの設定を適用するものがほとんどだ。しかし本機では電力的に無理がある。GeForce RTX 4050 Laptop GPUの仕様のGPUサブシステム電力を見ると35〜115Wで、CPUのCore i7-13620Hも最小保証電力が35W、ベースパワーが45W、最大ターボパワーが115Wだ。
150WのACアダプターでCPUとGPU、両方が最大消費電力だったらオーバーしてしまう。本製品では最大150Wの電力を、(TDPに制限をかけて=クロックを落として)GPUとCPU、その他のシステム電力でシェアしているわけだ。
こういった仕様を理解した上で、ベンチマークによるパフォーマンス検証を見ていこう。
まずPCMark 10のOverallは7555ポイントだった。シナリオ別に見るとEssentialsが1万561ポイント、Productivityが1万1310ポイント、Digital Content Creationが9796ポイントとおおむね1万ポイント前後となっている。
1万ポイントは快適さの目安とも言える。そこをクリアしている点で本機には十分なパフォーマンスがあり、資料作成やそのためのWeb閲覧、Web会議といったクリエイティブ用途以外でも快適な利用が可能だ。
CINEBENCH R23のMulti Coreスコアが1万1632ポイント、Single Coreが1872ポイントだった。通常、Core i7-13620Hに最大の電力を供給すれば1万5000ポイントに達するので、本製品ではCPU側のブーストも抑えられている結果だ。
とはいえ、ここでも1万ポイント(CINEBENCH R23の場合)は超えている。これはモバイルPCで一般的な「U」シリーズのSKUであるCore i7と比べるとやや高めのスコアと言える。
ブーストクロックを抑えたGeForce RTX 4050 Laptop GPUが、どのくらいのパフォーマンスを発揮するか興味のある人が多いだろう。そこでFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークのスコアをCPU内蔵GPU(Intel UHD Graphics for 13th Gen Intel Processors)とGeForce RTX 4050 Laptop GPUで比較してみた。
フルHD(1920×1080ピクセル)/高品質(GPU負荷が高い)を3回計測したデータで見ると、CPU内蔵GPU時の平均が6801ポイント、これに対してGeForce RTX 4050 Laptop GPU時の平均は6831ポイントだ。
GeForce RTX 4050 Laptop GPUの方が高スコアだったが、30ポイントの差はほとんど誤差の範囲である。なお、ブーストクロック制限のないGeForce RTX 4050 Laptop GPUは8000ポイント台だ。そう考えると、無理にディスクリートGPUを搭載する意味があるのか、と思うかもしれないが、次のテスト結果を見てほしい。
こちらは、PCMark 10のDigital Content CreationシナリオをCPU内蔵GPUと(ブーストクロック制限ありの)GeForce RTX 4050 Laptop GPUで比較したものだ。3つのテストとも明らかにGeForce RTX 4050 Laptop GPU時の方が高スコアだ。
| PCMark 10 Digital Content Creationシナリオのスコア(3回平均) | ||
|---|---|---|
| テスト名 | CPU内蔵GPU | GeForce RTX 4050 Laptop GPU |
| Digital Content Creation | 9,725.67 | 9,952.67 |
| Photo Editing | 13,102.67 | 13,308.67 |
| Rendering and Visualization | 11,421.33 | 11,696.00 |
| Video Editing | 6,148.00 | 6,334.67 |
PCMark 10のDigital Content Creationに含まれる3つのテストでは、OpenCLやOpenGLが利用されている。いずれも一般用途ではあまり使われないが、クリエイティブ系のアプリケーションでは用いられることがあるAPIだ。
OpenCLやOpenGLの他、クリエイティブ系アプリケーションで用いられるAPIとしてはCUDAが挙げられる。CUDAはまさにGeForce固有のAPIなので、CPU内蔵GPUだけのモデルでは利用できない。こうした点を総合すると、電力制限をかけているとは言え、GeForce RTX 4050 Laptop GPUを搭載することに意義があることが分かる。
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