──AI PC元年と呼べるほど製品が花盛りですが、このエコシステムの拡大でどのような点が重要で、ユーザーにメリットがあると考えていますか?
ウナングスト氏 まず、ユーザーにとってのメリットですが、第1世代と第2世代のAIプロセッサにおいて、それが使われている既存のアプリケーションにより良いパフォーマンスやサービスを提供できることです。
例えば、TeamsやZoomなどのアプリケーションがより長い時間、利用できるようになります。Copilot+ PCが提唱するように、将来的により多くのアプリケーションがAIを使うようになれば、それらを並列させて処理できるようになるメリットもあるでしょう。
AMDとしては、AIエコシステムにコミットしており、こうしたAIアプリケーションを開発するAI ISVのコミュニティーを2024年内に150社集めるという目標を立てていますが、問題なく達成できそうです。2025年にはさらに多くのISVが参画することになるでしょう。
塚本氏 Lenovoとしても、やはりISVが重要だと考えています。CPU、GPU、NPUがそろったわけですが、必ずしも全てのプロセスでNPUを使うのではなく、適材適所で利用し、電力当たりのパフォーマンスを向上させて生産性を上げることが必要です。
例えばLenovo Viewという、会議中にWebカメラの画質を良くするソフトウェアを提供していますが、これはこれまでGPUで処理していましたが、NPUで動作するようになります。こうすれば性能も上がるし、消費電力も下がるのでベストな使い方となるでしょう。
将来的にそういったものを増やしていき、お客さまの生産性向上で成功に貢献していくのがミッションです。加えて、現状はクラウドで処理しているようなものであっても、ローカルで処理して自分のデータは自分で守れるようにしたいなど、ビジネスをやっている上でそういうニーズが増えてきます。Lenovoでは、いずれにせよお客さまに安心して使っていただけるビジョンを示し、うまく活用してほしいと考えています。
──ISVの重要性に言及されていますが、それを踏まえて将来的なAI PCのビジョンをどのように考えていますか?
ウナングスト氏 指摘されたように、サードパーティーであるISVの存在が非常に重要であり、業界を横断したAIのパートナーシップが必要です。ユースケースをさらに足していく中で、パートナーシップが重要になってきます。私たちがハードウェアを提供するだけでなく、ソフトウェアも合わせてソリューションを提供していく必要がありますね。
塚本氏 Lenovoとしては、パーソナライズを重視しており、AI PCでとても大事な要素だと考えます。自分の情報をパーソナライズするのに自身のデータをうまく活用しなければいけないわけで、それに適したISVをうまく活用し、安心して生産性を上げていける環境が重要です。
ユーザーが自然と使うようになる仕組み──例えば、昔はGoogle検索といえばそれ自体が独立した行為だったものでしたが、今では誰もが自然に使うものになりました。
そうした世の中で、もしインターネットに接続できなくなったとしたら『ああ、自分はこんなに検索に頼っていたんだ』と気付いたりするでしょう。
同様に、AIでクラウドが使えなくなったらどうなるだろうという場面も出てくるでしょう。そうした時にローカルで利用できるAIの環境があると便利で、そこのバランスを大事にしたいのです。それらを包含したISVのエコシステムを実現できればと考えています。
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