―― 展示する技術やソリューションは、どのような観点からを選んだのですか。
種谷 今回のSHARP Tech-Dayでは、AI/EV/ESGを基軸に50以上の展示を行います。前回は42テーマでしたが、私は何でも「2割増し」を目標にしていますから(笑)、展示数も「2割増し」にしました。
2024年も、当社が持っている全ての技術を見るために私は全国を飛び回りました。その中から、当社全体に大きな波及効果を及ぼす技術であること、ブランド事業の再成長に向けて大きく貢献できる領域であること、技術の進展によって大きなインパクトが見込まれる分野であることなどを条件に選びました。
そして、社会課題となっている領域に対して、一石を投じることができる技術なのかという点にもこだわりました。例えば、「エリア別選択加熱技術」は1つのプレート上に乗ったご飯や総菜のあたためと、刺身などの解凍を同時に行えるように、エリアごとに出力を細かく設定することができます。
技術としては加熱を細かく制御している部分が鍵となりますが、私たちが価値として捉えているのは、これによって保存しやすく、消費期限が長い冷凍食材の活用シーンが広がり、集合施設や食堂、コンビニエンスストアなどで利用/販売されるようになれば、食品ロスの削減につながるという点です。
国内だけで年間400万トン以上が廃棄されている食品ロスの課題に向き合うことができる技術であり、そうした世界観に共鳴していただけるお客さまやパートナーと一緒になって、この技術を活用し、社会課題を解決していきたいと考えています。
技術の中には、Next Innovationという観点で展示するよりも、製品化への取り組みを加速した方がいいと判断したものもありましたし、単に技術がアップデートしただけで、イノベーションにはつながっていないと判断したものもありました。
展示されたものが、「この技術は面白いね」というものばかりでは意味がありません。どう社会が変わるのか、どう生活が変わるのかということが大切です。技術としては小さな進歩に留まっていても、ユーザーにおけるイノベーションが大きいと期待されるものは展示をしましたし、技術が大きく変化していても、それがユーザーに与えるインパクトが少ないと判断した場合には展示を見送りました。
私自身、SHARP Tech-Dayの展示会場には、納得がいく技術をそろえることができたと思っています。この1カ月で、かなり進歩した技術もありました。技術者は、SHARP Tech-Dayが始まるぎりぎりのところまで開発を進め、会場に持ち込むことになります。
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