「iPhone 16」がiPhone新時代の幕を開く 試して分かった大きな違い(2/4 ページ)

» 2024年09月18日 23時00分 公開
[林信行ITmedia]

「カメラコントロール」でiPhoneがデジカメに進化

 では早速、注目のカメラコントロールを検証しよう。カメラコントロールを押し込むと、すぐにカメラが起動するカメラ専用の操作部になっている。

 カメラが起動した状態でもう一度カメラコントロールを指で押すと、ディスプレイのカメラコントロール直下の場所に撮影設定を切り替えるアイコンが現れる。指を左右にスライドさせ設定項目を選び、押して選択する。その状態で、再び指をスライドさせてカメラを構えたままズームや露出といった撮影設定を切り替えることができる。

Apple Apple iPhone 16 Pro Max スマホ Apple Intelligence カメラコントロール カメラコントロールを使って撮影している様子。カメラコントロールは縦に構えて撮影することも想定して、かなり内側に配置されているため、どうしても右手が画面を覆ってしまうのが最初は気になっていたが、慣れるとそれよりもこの操作の快適さが勝っていた

 これは、コンパクトデジタルカメラにトドメを刺す機能かもしれない。iPhoneのカメラは、これまで撮れる画質だけで勝負をしていて、撮影する時の快適さまでは工夫していなかった。カメラ操作は全てディスプレイに表示されるので、一度カメラを両手で構えても、右手を構えた状態から離してディスプレイに表示されるボタンを押したり、露出調整をスワイプして調整したりする必要があり、これが手ブレやビデオ撮影時に余計な音が録音される原因にもなっていた。

 これに対して、専用のカメラではカメラを構えた時の指の位置を基本に操作部を配置しており、それだけに撮影条件を細かく調整しながら快適に撮影ができた。

 カメラコントロールはこの問題を解決するためのもので、iPhoneカメラに初めて「操作性の向上」という概念を持ち込んだ画期的な仕様変更だ。

カメラコントロールを使ってカメラの撮影設定を調整をしているところ。できればここにピント調整も欲しかった

 では、その出来栄えはというと、正直、最初は配置場所が本体の内側に寄りすぎかなと感じた。筆者は、これまでiPhoneの4つの角を両手の親指と人差し指の腹で押さえて撮影していたが、これだと人差し指がカメラコントロールに届かない。必然的に右手を内側にスライドさせて、画面の一部を右手で覆うような状態での撮影になってしまう。

 おそらく、この配置はiPhoneを縦に構えた場合の撮影に配慮したものだと思う。縦に構えた時にカメラコントロールがあまりにも外側にあると、(片手で持って親指で操作をするにしても、左手でホールドし右手人差し指で操作をするにしても)iPhoneが少し不安定になる。

 正直、最初は不満に思いながら撮影していたが、その後、iPhone 15 Pro Maxで撮影をしようと思ったら、指が自然とカメラコントロールを探していた。そして逆にカメラコントロール無しで撮影していたのが、何と不自由であったかを思い知ることとなった。

 よく考えてみれば、手に隠れてしまう部分も一瞬だけ手をどければ確認はできるし、実はそこまで深刻な問題ではないのかもしれない。

 操作は最初だけ戸惑うが、一度慣れてしまえば問題はない。それどころか、全ての撮影設定が1カ所で指1本を使えば変更できるというのは極めて快適だ。

 1つ不満もある。せっかくこれだけ撮影設定を変えられるのに、ピント合わせ(焦点距離の変更)ができないのだ。確かにiPhoneには優秀なオートフォーカス機能が付いているが、完璧ではない。いや、むしろかなり大雑把で、フォーカスを当てたい被写体を画面上で指でタップして四角い枠で囲んでも、必ずしもピントが合うとは限らない。

 中秋の名月で月面のクレーターまでしっかり入れ込もうと思っても、ほとんどピントが合うことはない。ソフトウェア的にはできることだと思うので、いずれソフトウェアアップデートでぜひ対応してもらいたいと思った。

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