「iPhone 16」がiPhone新時代の幕を開く 試して分かった大きな違い(4/4 ページ)

» 2024年09月18日 23時00分 公開
[林信行ITmedia]
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AI処理で圧倒的な差が! 長く使い続けたいなら最新モデルを

 最新となる、16番台のiPhone。ここまで紹介してきた機能だけでもかなり魅力的だが、それ以外にも例えばバッテリー動作時間が長くなっていたり、iPhone 16 ProシリーズがWi-Fi 7に対応していたりと細かい違いはたくさんある。しかし、製品の長期的な価値を考える上で最も大きな違いが出るのが、搭載プロセッサの変化だ。

 iPhone 16と16 Plusが備えるはA18プロセッサで、iPhone 16 Proと16 Pro MaxはA18 Proプロセッサとなる。どちらも2023年発売のスマートフォン、iPhone 15 Pro/Pro Maxが搭載するA17 Proの性能を、一部を除き大きく上回っている。

 定番テストプログラムのGeekbench 6と、AI処理をテストするGeekbench AIで検証した。

 従来の最高峰モデルであるiPhone 15 Pro Maxを基準にすると、iPhone 16/16 PlusはGPU性能こそほぼ同じながら、CPU性能は20%高速化し、ニューラルエンジンを使ったAI処理では最大約33%高速化していた。

 iPhone 16 Pro/16 Pro MaxはCPU性能が25%、GPUが18%、そしてNeural Engineを使用したAI処理は最大33%ほど高速化している。

 この大きな性能差の内、特にニューラルエンジンの性能差がかなり良くなっていることが分かると思う。これは16番台以降のiPhoneがAI処理に注力していることを示す証拠で、Appleが開発しているApple Intelligenceの時代に備えたモデルであることが分かる。

Apple Apple iPhone 16 Pro Max スマホ Apple Intelligence カメラコントロール Geekbench 6とGeekbench AIの2つのアプリで、いずれもApple Intelligence対応のiPhone 15 Pro Max(A17 Pro)とiPhone 16(A18)、iPhone 16 Pro Max(A18 Pro)の3モデルの性能を比較した。テスト項目はCPU/GPU、そしてNeural Engineの総合性能に絞った。Neural Singleはニューラルエンジンを使った単精度の処理、Halfは半精度、Quarterは4分の1精度の処理だ。ここには入れられなかったが、iPhone 15が搭載するA16プロセッサでは、半精度でのAI処理がiPhone 16の38%ほどの性能しか出ず、AI処理に関して圧倒的な差がついてる。グラフはiPhone 15 Pro Maxのスコアを100%とし、それよりどれだけ速くなっているかのグラフにしてある

 ちなみに、実はiPhone 15 ProのA17 Proも、それなりにAI処理に最適化されており、Apple Intelligenceにも対応する。

 だが、同じく2023年に発表されたiPhone 15だと、ニューラルプロセッサを用いた半精度という処理の性能がiPhone 15 Pro Maxの51%、iPhone 16の38%ほどの性能しかなく、Apple Intelligenceを動かすことができない。

 ここではApple Intelligenceの詳細は省くが、今はまだ米国のみに対応(10月にβ版提供予定)のApple Intelligenceも、2025年以降は日本でも利用できるようになる。そして、あと数年もするとアプリに用意されたさまざまな機能も、これまでのように人間がアルゴリズムを書いて処理させるのではなく、AIが機械学習によって得た直感で処理するようになる。

 そしてApple Intelligenceは、どんなアプリがどんな機能を提供するかを理解し、ユーザーがSiriに伝えた要望をどのアプリ、どのAIに割り振ればより良い結果が得られるかを判断して仕事を振リ分けるようになる。要するにiPhone利用の多くがAI処理に変わっていく。

 A18以降のプロセッサを搭載した16番台以降のiPhoneであれば、この恩恵を受けて、これから先5年くらいは最先端のスマートフォンの利用方法を享受できるが、それ以前のプロセッサを搭載しApple Intelligenceが利用できないiPhoneはこれまで通りの使い方しかできず、できることの差が大きくなって価値が下がってしまう。

 だから、これからiPhoneを乗り換えるのであれば、多少値段が張ったとしても16番台の最新iPhoneを手に入れた方がいいというのが筆者の持論だ。幸運にも、今回はお手頃価格の標準モデルでも、かなり魅力的な機能を備えているからだ。

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