まずこの写真を見てください。同じ写真を2台の端末で表示しています。
印象がかなり違うのが分かるでしょうか。撮影したときの印象に近いのは右です。Google Pixelは少し前から、HDRディスプレイとSDRディスプレイの両対応になる写真の出力に対応していて、それを「ウルトラHDR」と呼んでいます。
両対応というと聞こえは良いのですが、HDR表示ではしゃっきり、SDR表示ではべっちゃり気味の仕上げになることが少なからずあり、撮影した画像の印象をそろえる努力が不十分に見えます。ウルトラHDRはカメラの設定でオフにできて、上記のような表示端末で表示が変わってしまう問題は解決できますが、明暗差のある美しいシーンを写真に残す機会は損なわれます。
このあたりは、静止画HDRの表示に対応したデバイスが普及していけばだんだんメリットの方に傾いてくると思いますが、当面はSNSやアプリ対応がまちまちなのも含めて、どの端末で見るかや、誰に見せるかで見え方が変わるという若干の混乱はしばらくは続いていくでしょう。
Pixel 9 ProやPro XLは、ペリスコープ方式の5倍望遠カメラを搭載しています。
センサーやレンズの向きがメインカメラと異なるので製造上難しいのだと思いますが、メインカメラから望遠カメラに切り替えたときに
ということが起こります。これ自体はGoogle Pixel固有の問題でもないですし、三脚に固定して撮るのでもなければ、動画撮影中にレンズを切り替えたときにちょっとぎこちない感じになる以外は問題ないはずです。
……ないはずなのですが、本機は現状、このあたりのソフトウェア処理が不思議なことになっており、5倍望遠より下の中望遠ぐらいの領域で余計な問題が出てしまっています。例えば下記の写真、Pixel 9 Pro XLの約4.5倍のズームで、撮影プレビューを見ながら慎重に水平を取って撮影した写真です。
ご覧の通り、少し傾いていますね。この問題は以前から気になっていたので、手元のPixel 8 Proと、評価機や店頭展示のPixel 9 Proシリーズの合計6つの個体で試してみましたが、そのうち5つで気になる程度に傾いて写りました。
カメラアプリのフィードバックから報告はしてあり、そのうち直るだろうとも期待しています。ですが、過去には超望遠の領域で傾いて写ったり、ある時期は構図がずれて写ったりと、使っていれば見つけられそうな問題がちょろちょろと目につき、ちゃんと撮りたいときに引っかかるポイントが慢性的にあるなあ……というのが自分の感想になっています。
とはいえ、基本的には何もかもがよく写るカメラです。上記2つの「悩ましさ」で結局何が言いたいかというと、こだわりと期待が高い使い方をするほどつまずくのなら、望遠カメラや高度なカメラ設定が無い、気軽なPixel 9で良いのでは、ということです。幸い、Pixel 9は望遠カメラ以外にProモデルの差がそれほどないのが特徴でもあり、上記の中望遠傾き問題も発生しません。
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