数年前から登場した耳をふさがないオープンイヤー型のイヤフォンは、2024年あたりに一気に普及し、すっかり市民権を得たように思う。イヤフォンでありながら、装着したままでも周囲の音を聞くことができ、運動中やカフェなどでの「ながら聞き」にはピッタリの製品だ。
反面、周囲の音が聞こえるために、音楽に没頭するような使い方には向いていない。音楽をよく聞こえるようにと音量を上げると、音漏れも大きくなってしまうという問題もある。
この音漏れを効果的に抑制する技術を搭載するのが、NTTソノリティが展開する「nwm」(ヌーム)シリーズだ。2022年11月に最初の製品が発売されたnwmシリーズは、2024年末に新製品が発表され、現在は全部で6モデルが用意されている。6モデル中5モデルはイヤフォンなのだが、唯一「nwm ONE」はヘッドフォンとなっている。
オープンイヤーのヘッドフォンというのは、何とも奇妙な印象を受けるかもしれないが、着け心地も良く音質的にも十分に満足できるものとなっている。筆者はnwm ONEを発売日(2024年7月18日)に購入して使っているので、少し前の製品ではあるが改めて紹介していこう。
nwm ONEは、「オープンイヤー型オーバーヘッド耳スピーカー」というこれまでになかったジャンルの製品だ。といっても、nwmシリーズ全ての製品がイヤフォンやヘッドフォンという言葉を使わず「耳スピーカー」を名乗っている。ここは素直にオープンイヤー型ヘッドフォンと言ってしまってもいいだろう。
ぱっと見では普通のヘッドフォンにも見えるのだが、オープンイヤー型で「Unmute the World 今こそ、ミュートを解こう」をコンセプトにしており、耳をふさがない構造になっている。通常はハウジングやイヤーパッドがある部分が、骨組みだけのような状態だ。中央にはスピーカーが内蔵されおり、これを見るとオーバーヘッド耳スピーカーという名称にもうなずける。
左側ユニットには、USB Type-Cポートと電源ボタンを兼ねたマルチファンクションボタン、そしてボリュームボタンを備えている。付属品はUSB Type-Cケーブル(約1.2m)のみとシンプルだ
マルチファンクションボタンは、1〜3回押しで各種操作が可能だが、この操作は残念ながらカスタマイズはできない。
接続は、Bluetooth 5.3もしくはUSBによる有線接続に対応する。BluetoothはマルチペアリングとAuracastにも対応している。なお、対応コーデックはSBC/AAC/LC3となっている。
オープンイヤーは低音が弱くなりがちだが、nwm ONEは非常に気持ちがいい低音を感じることができる。ツイーターとウーファーの2wayドライバを搭載しており、イメージとしてはヘッドフォンというよりも小型のスピーカーを耳の上に配置しているという印象だ。
1人だけの部屋など静かな環境であれば、オープンイヤーの解放感も相まって快適に音楽を楽しめるのだが、通常のヘッドフォンとは違い耳を覆っていないので周囲の騒音がダイレクトに聞こえてくる。音量を上げれば話し声などはある程度気にならなくなるが、ANCのように低音ノイズを取り除けるわけではない。音楽をBGM的に楽しむ分には問題ないが、没頭したいという使い方には向かないだろう。余談だが、オープイヤーには、長時間の装着でも耳が蒸れないという特徴もある。夏場には特に助かるメリットだ。
ちなみに、バッテリー駆動時間は音楽再生時で最長20時間、充電時間は約1.5時間となっている。また、5分の充電で約1時間の利用が可能だ。
スマートフォン向けのコンパニオンアプリ「nwm Connect」では、イコライザーの設定を行える。「Balanced」「More Bass」「More treble」「Clear voice」「Dynamic」の他、ユーザー設定を5つ設定可能だ。
対応OSはiOS 15.5以降、visionOS 1.0以降、Android 10以降となっている。
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