冒頭でも触れた通り、Surface Pro(第11世代)は、Qualcomm製のSoC「Snapdragon Xシリーズ」を採用する。液晶ディスプレイモデルはCPUコア10基の「Snapdragon X Plus」を、有機ELディスプレイモデルはCPUコア12基の「Snapdragon X Elite(12コア)」を搭載している。
Snapdragon X EliteにはCPU/GPUの動作クロックが異なる4モデルがある。同SoCを採用するCopilot+ PCでは、シリーズのエントリーモデルである「Snapdragon X Elite X1E-78-100」を採用することが多いのだが、Surface Pro(第11世代)のSnapdragon X Eliteモデルにはその上位に当たる「Snapdragon X Elite X1E-80-100」が搭載されている。
X1E-80-100には、12基あるCPUコアのうち最大2基に対して「DualCore Boost」を適用できる。そのため、CPUコアは通常最大3.4GHzで駆動するが、最大2コアまで4GHzまでブースト可能だ。
メモリはLPDDR5X-8448規格で、評価機は16GBを備える(最大32GBで増設/換装不可)。ストレージはPCI Express 4.0 x4接続のM.2 SSD(Type 2230)で、評価機は512GBのモジュールを搭載していた(最大1TBで条件付きで換装可)。
Snapdragon XシリーズのCPUコアは、Armアーキテクチャがベースだ。ゆえに、Surface Pro(第11世代)にプリインストールされているのも、Arm版のWindows 11 Homeとなる。
Arm版Windows 11を搭載するCopilot+ PCには、x64版に先駆けてNPUを活用する新しいAI機能が複数導入された(Intel/AMD製SoCを搭載するCopilot+ PCでは「Windows 11 Insider Preview」一部チャネルでテスト提供中)。
例えばペンでのスケッチから画像を生成できる「コクリエイター」機能は、Surface Proのような2in1タブレットとの相性は抜群に良い。また、AIを使ってWebカメラの映像に複数の効果を加える「Windows Studio Effects」では、高速なNPUを備えるCopilot+ PCならではの追加機能も用意されている。
Copilot+ PCにおける目玉機能となる「リコール」機能では、PC上で見たもの/操作したものを過去にさかのぼって探し出すことができる……のだが、現時点ではWindows Insider PreviewのDeveloperチャネルに参加している人向けにテスト提供中という段階で、一般のCopilot+ PCへの提供にはもう少し時間がかかりそうだ。
ArmアーキテクチャのCPU(SoC)とArm版Windows 11は、Intel/AMD製のCPUを前提とするx64版とは異なり、アプリや周辺機器との互換性に無視できない課題を抱えている。
一応、x64アプリをエミュレーションで動かす機能が備わっており、意外と多くのアプリが問題なく動作するCPUアーキテクチャに強く依存するアプリは動かない。また、エミュレーションで動くx64アプリとArmネイティブアプリとの相互運用ができないという問題も抱えている(「ARM64EC」でコンパイルされたアプリを除く)。例えば、日本語IMEである「ATOK」はエミュレーションで動作するものの、「Microsoft Edge」を始めとするArmネイティブアプリでは文字入力に使えない。
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