Copilot+ PCとなった「Surface Pro(第11世代)」を試す Snapdragon Xシリーズを搭載してアグレッシブにモデルチェンジした成果は?(4/4 ページ)

» 2025年01月25日 12時00分 公開
[マルオマサトITmedia]
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900g以下のタブレットとは思えないパワフルなパフォーマンス

 ここからは、評価機でいくつかのベンチマークテストを実行してみよう。特に言及がない限り、Windows 11の電源設定は「最も高いパフォーマンス」で測定している。

テスト環境 テストの環境(クリックで拡大)
電源設定 Windows 11の電源設定は基本的に「最も高いパフォーマンス」で行っている

 「CINEBENCH 2024」(最低実行時間10分)のマルチコアテストのスコアは849ポイントだった。過去にテストした「Vivobook S 15 S5507QA」や「Yoga Slim 7x Gen 9」と比べると劣りはするものの、Core Ultra 7 155Hを搭載する「Swift Go」は上回っており、タブレットというフォームファクターを考えると大健闘している。「約895gのタブレット」だと考えると、かなりパワフルともいえる。

 さらに、CPUコアのシングルスレッド性能は、さらに“強力”だ。評価機ではシングルコアテストのスコアが124ポイントと、過去にテストした全てのSnapdragon X Elite X1E-78-100搭載機よりも高いスコアをマークした。評価機がワングレード上のX1E-80-100を搭載しており、2コアだけでも最大4GHzまでブーストできるメリットが奏功しているのかもしれない。

CINEBENCH 2024 CINEBENCH 2024(最低実行時間10分)のスコア比較

 「Geekbench 6」のスコアはさらに良好で、CPUテストに関してはシングル/マルチコアいずれにおいてもSnapdragon X Elite搭載機でトップだ。DualCore Boostの恩恵にあずかれるシングルコアテストは、その差が歴然としている。

 Microsoft Officeを利用してテストする「PCMark 10 Applications」もシングルスレッドの比重が大きいテストだが、こちらのスコアも良好だ。

 キーボードが別ユニットになっているデタッチャブル式のため、これだけのパワフルな性能を発揮しながら、高負荷時でもキーボードに不快な熱が伝わってこない点も強みといえる。

Geekbench 6のスコア比較 Geekbench 6のスコア比較
3DMarkのスコア比較 3DMarkのスコア比較
PCM PCMark 10 Applicationsのスコア比較

 なお、バッテリーの駆動時間については、画面の輝度を50%、Windows 11の電源設定を「推奨」に設定してから「YouTube」の動画を連続再生してバッテリー残量をチェックするという方法でチェックした。すると約1時間経過した段階で11%減っており、計算上は9時間程度の視聴ができることが分かった。公称値が「ローカル動画再生時で13時間」としていることを考えると妥当といえる。

FF14 「FINAL FANTASY XIV:黄金のレガシーベンチマーク」の1920×1280ピクセル/「ノートPC標準」画質/フルスクリーン/FSR設定時のスコア
FF14 「FINAL FANTASY XIV:暁月のフィナーレベンチマーク」の1920×1280ピクセル/「ノートPC標準」画質/フルスクリーン設定時のスコア
サーモ CINEBENCH 2024のCPUテスト実行開始10分後に「FLIR ONE」で撮影したサーモグラフィー映像(室温28度)。高負荷時でもキーボードはクールな状態だ

パフォーマンス的な意味で可能性が広がったパワフルな2in1 PC

 Surface Pro(第11世代)の直販価格は、最小構成で20万7680円だ。先述の通り、今回の評価機の直販価格は29万5680円で、SSDを1TBに増量すると32万8680円となる。

 この状態でもSnapdragon X Elite搭載機としてはトップクラスに“高価”なのだが、別売のキーボードとペンまでそろえると、選択肢によっては40万円程度になってしまう可能性もある。Armアーキテクチャゆえの互換性問題を踏まえると、(現状で)互換性に小さくない課題を抱えるPCにこの金額をポンと支払える人はかなり限られるのではないだろうか。

 「新しいAI体験ができるCopilot+ PC」をいち早くアピールすべく、Arm版Windows 11で機能を先行開発することまでしてSnapdragon Xシリーズを採用したPCを出す――そんなMicrosoftの“アグレッシブさ”には驚かされたが、それとは裏腹に価格設定は“保守的”ともいえる。Windows on Arm(Arm版Windows)のエコシステムをもっと“本気で”育てたいのなら、もっと戦略的な価格にしても良かったようにも思う。

 とはいえ、本機はパワフルなパフォーマンスと電力効率を兼ね備えた、Snapdragon X EliteというSoCの特徴をフルに引き出せている。Bluetoothでも接続できるフレックスキーボードの導入により、2in1デバイスとしての可能性は大きく広がった。洗練された外観や品質の高さも強みだ。

 ローカルAIアプリを含めたArm対応アプリの動向次第では、グッと魅力が増してくる可能性がある。

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