ということで、ここからはグラフィックスカードを入れ替えつつ、GeForce RTX 5080の実力をチェックしていく。
今回はGeForce RTX 3080 TiとGeForce RTX 5080の比較をメインに据えよう……と思ったところ、編集長から「GeForce RTX 4080(Founders Edition)を交えて検証したら面白いのでは?」との提案を受けたので、一部のテストを除いて3つのGPU(グラフィックスカード)を比較することにする。
なお、グラフィックスドライバは、GeForce RTX 3080 Ti/4080が一般公開の最新版(バージョン566.36)で、5080がテスト用のβ版(バージョン572.12)を利用している。CPUがグラフィックスメモリ全体にアクセスできる「Resizable BAR」は有効としている。
編集長の発案でテストに加えることになったGeForce RTX 4080 Founders Edition。Intel NUC 13 Extreme KitのPCI Express 5.0 x16バスは、最大で3スロット厚のカードに対応するため、写真の通りボディーには収まる。本機は12VHPWR(旧16ピン)補助電源ケーブルを備えているが、今回はうまく稼働しなかったのでNVIDIA純正の8ピン×3変換アダプターを使ったところ、底面のふたを閉められなくなってしまった。仕方ないので、今回は底面のふたを閉めずにテストを実施する(変換アダプター探しは後回し)
2スロット厚のGeForce RTX 5080 Founders Editionなら余裕で収まる……と思いきや、カードの長さが若干ギリギリだったりする。こちらも8ピン変換アダプターを使うと裏ぶたが閉まらないので、そのままテストを実施した(ただし、4080 Founders Editionよりはキツキツ感が軽減される)
TUF Gaming GeForce RTX 3080 Ti OC Edition(上)と、GeForce RTX 5080 Founders Edition(下)のサイズ感は、ほぼ同一。重さは、GeForce RTX 5080 Founders Editionの方がやや強く感じるまず、3Dグラフィックスからテストを進めていく。なお、記事では取り上げていないテストとして、「CINEBENCH 2024」と「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」も実施したのだが、現時点でGeForce RTX 50シリーズに対応していないため、今回は除外する。
ULの3Dグラフィックスベンチマークテストアプリ「3DMark」では、DirectX 11/12 APIを利用する主要なテストを実行した。総合スコアは以下の通りだ。
全テストで順当に「5080>4080>3080 Ti」という結果となった。テストにもよるが、5080は4080比で1.08〜1.23倍、3080 Ti比で1.2〜1.69倍のスコアで、負荷の大きい(≒レンダリング解像度の高い)テストほど差が開く傾向にある。
WQHD(2560×1440ピクセル)、あるいは4K(3840×2160ピクセル)のテストを実際に見守っていると、GeForce RTX 3080 Tiも頑張ってはいるが、GeForce RTX 5080の方がよりスムーズだと分かる。
続けて、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を試してみよう。本ゲームの場合、解像度プリセットはHD(1280×720ピクセル)/フルHD/4Kの3種類だが、今回はフルHD/4Kと、カスタム解像度としてWQHDを「最高画質」のフルスクリーン表示でテストした。本プログラムでは、GeForce RTXシリーズの超解像技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」を利用できるが、今回は「60fpsを下回る場合に有効」としている。
結果は以下の通りだ。
どのGPUも、全解像度で「非常に快適」または「とても快適」評価となった。最上位ではないものの、ハイエンドだけある。
ただ、少し不思議な部分がある。3DMarkのように全解像度で「5080>4080>3080 Ti」となると思いきや、フルHDでのみ「4080>5080」となったのだ。試しに何度かやり直してみたものの、結果は変わらずだった(上記はベストスコア)。
環境とゲームエンジンのバージョンが異なるため単純比較は難しいものの、この現象は先日のGeForce RTX 5090におけるFF14ベンチマークでも同様となっている。FF14シリーズのゲームエンジンでは、GeForce RTX 50シリーズのフルHD解像度のみ“何か”あるのだろうか……?
もちろん、WQHD/4K解像度では5080がスコアを順当に首位に立った。3080 Tiとの比較では1.14〜1.39倍のパフォーマンス向上を果たしている。約2年前は3080 Tiでも「すごいなぁ」と思っていたところ、約3年半もすればGPUはさらに進化してしまうものなのだなと、感慨深い。
ここ数年はハイエンドGPUでも負荷的にキツい「超・超重量級ゲーム」が存在する。その典型例が、CD PROJECT REDの「Cyberpunk 2077」だ。このタイトルは最新技術を取り入れることにも積極的で、1月23日に公開された「パッチ2.21」では最新の「DLSS 4」に対応し、GeForce RTX 50シリーズでは「マルチフレーム生成」によるフレームレート向上を実現し、超解像処理に用いるAIモデルに新型の「トランスフォーマーモデル」も導入された(従来モデルも選択可能)。
そこで今回、パッチ2.21を適用した上で、プリセット設定では一番高負荷となる「レイトレーシング:オーバーレイ」の4K解像度における平均フレームレートを計測してみた。今回はGPUによって使えるDLSS設定が異なるが、有効にした場合は全てAIモデルをトランスフォーマーモデルとしている。結果は以下の通りだ。
ハイエンドとはいえ、さすがに“次点”のGPUでは最重量設定のネイティブ4K描画をこなすのは厳しいようだ。3080 Tiでは平均で5fpsを割り込んでおり“紙芝居”もいいところである。
しかしDLSSを有効化すると、いずれのGPUもプレイを楽しめるフレームレートは確保可能だ。5080であれば、この時点でスムーズさの1つの基準である平均60fpsを達成できる。
さらに、ハードウェア依存のあるフレーム生成を有効にすると、4080や5080は90fpsの大台に乗る。ここまでくれば“ヌルヌル”で楽しめるだろう。
加えて、5080でのみ使えるマルチフレーム生成は、描画の滑らかさをさらに高める。1フレームに対して3フレームを補間する「マルチフレーム生成3X」設定なら、平均で173.3fpsを達成できる。理論的にはフレーム生成オフ時の4倍のフレームレートが出ても良いような気もするのだが、3080 Ti比で最大4.46倍まで引き上げられるというのであれば、十分な気もする。
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