コクヨは1月29日、IoT文具「大人のやる気ペン」の先行販売をMakuakeで始めた。プロジェクトの期間は3月15日まで、価格は8910円(2台セットは1万6830円)からで、その他に「しゅくだいやる気ペン」とのセットや、コクヨ文具を付属したスターターキットなどを用意している。一般販売は春頃に開始し、Amazonや楽天市場などで取り扱うという。
報道陣向けに行われた製品発表会では、開発に携わったコクヨの中井信彦氏(経営企画本部 イノベーションセンター)が、開発に込めた思いを語った。会場内に設けられたタッチアンドトライで試作機に触れる機会も得たので、発表会の内容、ならびに製品のファーストインプレッションをお伝えしたい。
大人のやる気ペンは、2019年にコクヨが発売した「しゅくだいやる気ペン」に続くIoT文具だ。子どもたちの学習習慣化のために作られたはずのしゅくだいやる気ペンを大人がスキルアップに使っているという実態を踏まえ、24年6月から開発に着手していたという。
「ペン」という名称を使っているが、その実体は市販の筆記具やスタイラスペンに取り付けるセンサーである。楕円形のシンプルなデザインで、サイズは約24(幅)×35(奥行き)×51(高さ)mm、質量は約8gと軽く、装着してもじゃまにならない。
稼働時間は、本体のみで1日2時間の学習を想定して最長5日間、充電ケースの併用で最長25日間となっている。なお、充電ケースは完全ワイヤレスイヤフォンのそれと似たような外観をしている。
勉強中には、3軸加速度センサーで測定した動きのデータを「やる気パワー」として記録し、搭載しているLEDの色を変化させることで可視化する。勉強後は、本体内のメモリに保存したデータをスマートフォン専用アプリ「大人のやる気ペン」と連携して可視化する。
アプリにたまったデータは、1日、1週間、1カ月単位でグラフ化して見ることができる他、カレンダーで勉強した日と、しなかった日をチェックできるようになっている。
「大人のやる気ペン」アプリは、「可視化」、報酬と応援の「リアクション」、双方向ではない「ちょうどいい距離感のコミュニティー」でモチベーションを持続させる。
可視化は前述したようにグラフ化やカレンダー機能で対応する。目標到達時に「合格」ボタンを押すことでメダルのようなスタンプをもらうことができ、それをどんどんためることで、さらなるやる気を引き出す──という仕掛けだ。
アプリ内でスゴロクを進むのは自分のアバターだ。「ポット族」と呼ばれるアバターは、はじめは青いポットに双葉を生やした状態で登場するが、「やる気パワー」の量に応じてコマを進めることで、さまざまなアイテムを獲得してカスタマイズできるようになる。これが報酬のリアクションだ。
学習の度合いや傾向により、キャラクターから叱咤激励されることもある。子どもであれば、勉強をサボると親から小言を言われるが、大人の場合はそのような機会を得ることが少ない。そこでキャラクターが褒めたり叱ったりしてくれるというわけだ。これが応援のリアクションになる。
大人の孤独な学習を支えるために、「ナカマカード」という仕組みも用意されている。これは、スゴロクを進むことで出会うユーザーのカードから、その人が実践している勉強のコツ、またなぜ勉強するのかといった理由を知ることで、「自分だけではない」という励みを得られるというものだ。双方向コミュニケーションはできないが、同じ目標に向かって進む仲間の存在を知るだけでも心強いと感じそうだ。
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