名前に「Pro」を付け忘れた? イラストレーターがHuionの新作液タブ「Kamvas 16(Gen 3)」を試して分かったメリットと気になるところある日のペン・ボード・ガジェット(3/4 ページ)

» 2025年04月02日 12時00分 公開
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描き味と完成度が向上したペン

 ペンもチェックしていきましょう。本機にはPenTech 4.0のペンシステムに対応した軽量タイプのペンが付属します。上位機に付属していた通常のペンと細ペンは、オプションとして購入できます。

Kamvas 16 Gen 3 Huion 液晶 ペン タブレット XPPEN ワコム 15.8型 2.5K QHD ペンスタンドには標準タイプの替え芯が10本入っています

 また、サイドボタンが3つあるので従来機に比べてカスタマイズ性が高まっています。

Kamvas 16 Gen 3 Huion 液晶 ペン タブレット XPPEN ワコム 15.8型 2.5K QHD 一番上のボタンにクイックメニューを割り当てた例

 遅延やジッターなどのチェックを一通り試してみましたが、今どきこのあたりの問題が残っていることはまれですし、本機も問題ありませんでした。先のモデルで発生していた、傾ける向きによってはカーソルがずれる問題も、本機では修正されているようでした。このあたりの、作りながらどんどん直していくスピードは海外メーカーならではですね。

 筆圧の反応も良好です。軽い筆圧から強い筆圧まで、だいたい意図した通りにコントロールできて、ブラシ設定を変えないまま無理ない力の範囲で薄く〜ベタ塗りまでコントロールすることができます。

 古い世代のペンではあるあるだった、さして強くない筆圧なのに反応が頭打ちになってしまう問題も、今となっては心配する必要はありません。

Kamvas 16 Gen 3 Huion 液晶 ペン タブレット XPPEN ワコム 15.8型 2.5K QHD ざっくりですが、プロペン2ぐらいのハイレベルなペンに慣れていても、ダウングレード感を覚えることなく描くことができると思います

 ただし、付属の芯が1種類だけです。描き味の選択肢が欲しい人はオプションの「フェルトペン先」を検討しても良いでしょう。アンチグレア処理が細かいこともあって標準の芯はスルスル滑らかで、筆圧をかけても摩擦がそれほど強くなっていかないタイプの描き味でした(例によって最初に布で画面をふくと摩擦感が安定します。念のため)。

いつもの魔女さんで実用チェック

 さて。ここまで見てきて、ドライバアプリが若干洗練されていないのが残念なことと、ペンに太さや芯の選択肢を加えるにはオプションの購入が必要なこと以外は上位機に近い、ということが分かりました。

 ここからは、実際にいつものイラストで実作業をなぞりながら使用感をチェックしていきます。

 ラフ〜線画は、実は2024年にレビューしたプロモデルのKamvas Pro 19よりも印象が良いぐらいでした。

 というのも、Kamvas Pro 19は表示遅延が少しあり、本機の方が遅延感も少な目です。ペンを素早く動かしていろいろと試したいラフの工程や、集中して線の様子を見ながらペンを引きたい線画の工程では、遅延によるモッサリ感やペン先から線が離れている様子は気になりやすいです。

Kamvas 16 Gen 3 Huion 液晶 ペン タブレット XPPEN ワコム 15.8型 2.5K QHD 大ラフは丁寧にやっても仕方ないので、素早い動きについてくる機材が快適です

 筆圧のコントロール性が良いからか、それともドライバに制御でも入っているのか、いずれにせよ意図したとおりにスッと自然に抜ける線を安定して描くことができました。

Kamvas 16 Gen 3 Huion 液晶 ペン タブレット XPPEN ワコム 15.8型 2.5K QHD 線の入り抜きに特別な配慮をしているわけではないPhotoshopで、これくらいできると安心感があります

 彩色も同様で、多少のブラシ設定の調整をした後は、意図した通りの濃さやグラデーションをつけながら塗れました。ごく軽い筆圧の自然さはもう少しあってもいいかなと思うものの、あくまで自分の実制作では使わないようなふんわり筆圧を試しているときに感じ取れる程度です。

Kamvas 16 Gen 3 Huion 液晶 ペン タブレット XPPEN ワコム 15.8型 2.5K QHD 摩擦が小さめなのは、正確さが程々で良くて筆圧を広めに使う彩色作業に合っています

 ペンとディスプレイの品質には感心する一方、本体のキーはあまり使いませんでした。ダイヤルはチチチ……と軽い力で小気味良く回るし質感も良いのに対して、キーは力を入れづらい位置にある割には感触が重く、ちぐはぐな感じです。

 素早い操作をし続けるなら、安定した位置に配置できるキーボードや左手デバイスの方が快適ですし、ならばと思って頻度が高くないキーマクロの用途にするにも、先に書いた「途中で装飾キーが変わるパターン」を登録できないので利用機会が減ります。

 全体として、自分は元々キーボード派なために本体のキーを使わなくても作業効率に大きな問題はなく、ドライバアプリも作業中にはそれほどごちゃごちゃ操作するわけではないので、ほとんどの時間を快適に過ごせました。

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