ディスプレイもチェックしていきましょう。本機はsRGBモードのキャリブレーション報告書が添付されており、デフォルトでsRGBモードが選択されています。
また、広色域ディスプレイでもあり、「99% sRGB」「99% Rec. 709」「90% Adobe RGB」をうたっています。実際にネイティブモードで測色器にかけてみましたが、Adobe RGBとP3系を両取りできるタイプのディスプレイのようでした。
ただし、ディスプレイのプリセットには「Display P3」や「DCI-P3」はないため、P3系の広色域を使いこなすには追加の手間や費用が必要になります。
2560×1440ピクセルの画面表示は、フルHD(1920×1080ピクセル)ほどドット感が目立つこともなく、4KのようにPCの負担になりそうでもなく、ちょうど良い細かさです。アンチグレア処理も細かめで程よくシャープな見え方なので、文字を表示するような一般用途でも使いやすいでしょう。
ここまでは非常に印象が良く、スタンダードモデルながらラグジュアリー感がある出来栄えです。ですが、ドライバとアプリを使用していると、機能や見た目の洗練されていない点が目に付き、少し感覚が引き戻されます。手元で使う限りでは以下の点が気になりました。
また、SNSやフォーラムで検索すると、Huionの機材ではペンの動きが引っかかる不具合の言及が比較的よく見られるようです。
手元で4台の異なるPCで試してみると1台で発生し、そのPCではWindowsのクリーンインストールをしてドライバだけを入れた直後でも、別のHuion板タブを使っても、不具合は発生していました。
この問題は、2つのペンAPI「Tablet PC」と「WinTab」のうちのTablet PCを使うアプリで発生するようです。イラスト制作に使うアプリの多くは問題ない方のWinTabをデフォルトで使うので、不具合が出ているPCでも影響を受けないまま過ごせる可能性は高いです。
もし影響を受けてしまったら、ドライバの設定で「ウィンドウズインクを活性化」を無効したり、Photoshopの場合はソフトウエア診断から「WinTabの有効化」したりすることで、問題を迂回(うかい)できる可能性があります。
CLIP STUDIO PAINTなどを使っていればわざわざ設定を変えない限り遭遇しないでしょうし、いずれ直る問題のはずですが、本機を検討するなら使いこなし知識として記憶の端にとどめておいても良いでしょう。
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