さて、ベンチマークテストで従来のPCの使い方をした場合のパフォーマンス評価を行ってきたが、冒頭で紹介した通り、AI X1は従来のPCと違ってNPUが搭載されている。
NPUはAI処理に特化したプロセッサで、例えば今までは高性能なGPUが必要だった画像認識や自然言語処理などを、GPUを用意せずとも、それこそAI X1のような小型PCでも省電力に実現できるといったものだ。
しかしながら、Ryzen 7 260に内蔵されるNPUは、Microsoftが提唱するCopilot+ PCのパフォーマンス要件を満たしていないと冒頭で触れた。であれば「AI X1のNPUは無駄ではないのか」と感じる方もいるだろうが、決してそうではない。
あくまでCopilot+ PCの要件を満たしていないだけで、NPUを利用した各種アプリケーションで恩恵は受けられる。
ただし、現状ではまだまだNPUを搭載したPCの普及は発展途上にあるため、クラウド上のLLM(大規模言語モデル)を利用するサービスやプロダクトが多く、手元の端末のNPUを活用できるアプリはMicrosoftのCopilotやWindows Studio Effects位しか存在しないのが正直なところだ。
加えてCopilotの場合、Microsoft 365 Personalの契約が必須なので、気軽に利用できる状況にはない。
もしくは、AI PCでのAI推論を最適化および展開するためのツールとランタイム ライブラリである「Ryzen AI Software」を使って自身でコードを書くしかないのが現状だ。
今後、NPUの普及がさらに進めば、Copilot+ PCの要件を満たさなくとも利用できるAI関連のアプリが出てくることを期待して待つのも良いが、AI X1を購入したのであれば、Ryzen AI Softwareを活用してAIアプリを開発する、なんてプランはいかがだろうか。
AI X1は小型ながらCPU、グラフィックスのパフォーマンスも高く、それでいてコンパクト──全てのユーザーを通しておすすめできる製品だ。さらに最新の生成AI機能に活用できるNPUが搭載された、夢の詰まった製品とも言えそうだ。
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