外観チェックや搭載されているCPU、内蔵グラフィックスについてはこれくらいにしておいて、各種ベンチマークテストからAI X1のパフォーマンスを評価していこう。
なお、ベンチマークテストの測定は下記のモデルかつACアダプターで駆動させた環境でテストしている。
まずは、3Dレンダリングを行いCPUの性能をテストする「CINEBENCH R23」を実行して、Ryzen 7 260の実力を測ってみた。結果は以下の通りだ。
なお、手元にあったZen 3+アーキテクチャのRyzen 7 7735HS(8コア16スレッド)で測定した結果と比較しているので、参考にしてほしい。
Ryzen 7 7735HSはRyzen 7 260と比較して、コア数とスレッド数は同じだが、ベースクロックが3.2GHz、最大ブーストクロックは最大4.75GHzと、どちらもRyzen 7 260と比べて幾分か低い。その違いを加味したとしても、マルチコアスコアはRyzen 7 7735HS比で約1.4倍、シングルコアスコアは約1.2倍と世代の進化を感じさせられるスコアを発揮しているといえる。
続いて、さまざまなアプリケーションを実行して総合的なパフォーマンスを測定できる「PCMark 10」を実行し、AI X1の総合的な実力を試してみた。結果は以下の通りだ。なお、今回の比較ではRyzen 7 7735HSと外部GPUであるRadeon RX 6600Mを搭載した「Minisforum HX77G」(以下、HX77G)のスコアを参考値として合わせて紹介している。
Webブラウジングやビデオ会議、アプリ起動時間などから一般的なPC利用時のパフォーマンスを測定するEssentialsテストにおいては、CPUパフォーマンスの高さからAI X1に軍配が上がっているが、グラフィックス性能に依存するProductivityテストはわずかな差でHX77Gに、写真編集やビデオ編集、3Dレンダリングなど、よりGPU性能に依存するDigital Content CreationテストではHX77Gと大きな差が開いている。
ただ、ここで再び思い出してほしいのだが、HX77Gは独立GPUを採用しているが、AI X1は内蔵グラフィックスだ。この点を考慮すると、やはりRadeon 780Mのパフォーマンスの高さが際立つ。
続いて実際のゲームのベンチマークテストを通して、AI X1の具体的な実力を掘り下げてみよう。まずは「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を用いて、比較的動作の軽いテストを行う。
今回は内蔵グラフィックスということも踏まえ、解像度を「フルHD(1920×1080ピクセル)」に設定した上で、画質を「最高品質」「高品質(デスクトップPC)」「標準品質(デスクトップPC)」でそれぞれテストを実施した。結果は以下の通りだ。
やはり、現在発売されている独立GPUと比較すると、見劣りしてしまうスコアとなったものの、画質を落とせばフルHDであっても内蔵グラフィックスでそれなりに快適にプレイできるのは正直驚きだ。ただ、FF14ベンチマークは主要なゲームベンチマークの中では動作が軽い方なので、より重たいゲームの場合はどうなるだろうか。さらに掘り下げてみよう。
続いては、一足飛びでAAAタイトルであるサイバーパンク2077のベンチマークテストを試してみよう。サイバーパンク2077でも解像度はフルHDに設定した上で、画質を「低」「中」「高」「ウルトラ」に加え、レイトレーシングの実力を測るために「レイトレーシング:低」「レイトレーシング:中」「レイトレーシング:ウルトラ」「レイトレーシング:オーバードライブ」でテストを実施した。
Radeon 780Mはスペックシート上ではレイトレーシングに対応しているが、快適にプレイできるのだろうか……? 結果は以下の通りだ。
こうしてみると、フルHDであっても画質設定が「高」までであれば、最低FPSが28.02FPSで最大FPSが40.75FPS、平均FPSが33.93FPSなので、そこそこプレイできると評価して良さそうだ。
レイトレーシングを有効化する場合、一番低い「レイトレーシング:低」でも平均FPSが25.93FPSなので、フルHDではあまり快適にプレイできない。もしレイトレーシングを有効化するのであれば、解像度を1600×900ピクセルに下げると良いだろう。ただし、フルHD以下で動かすゲーム環境と割り切れば、独立GPUを用意しなくとも良いのはコストパフォーマンスの高いPCといえる。
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