7月26日午前10時、グランフロント大阪 南館に全国11店舗目、関西地方3店舗目、大阪では心斎橋に続く2店舗目となるApple直営店「Apple 梅田」がオープンした。
JR大阪駅からグランフロント 南館を貫き、北館へと一直線に続く「創造のみち」という地上2階の大通りがある。Apple 梅田はこの通りで駅から直結の道のりで最初に目にするストアとなっており、かなりの好立地だ(2022年まではパナソニックのショールームだった)。
鋭角に突き出た建物の角から店舗の奥まで圧倒的な幅を持つガラス窓が特徴の店舗で、店内はトの字型の構造になっている。直角ではないが、奥に向かって伸びる通路部分に高さの異なるテーブルやスツールが並べられ、「Today at Apple」という製品使いこなしの無料講座を受けたり、製品で分からないことを相談したりする「Genius Bar」と呼ばれる無料相談窓口が配置されている。
最新のApple Storeだけあって、日本の他の店舗にはない、いくつかの特徴がある。順を追ってみていこう。
国内では初となる「Apple Vision Pro」の体験に特化した専用スペースだ。視力検査など、利用前の準備に時間のかかるApple Vision Proを心地よく体験してもらうために、イタリアの高級家具ブランド「Poltrona Frau」が革に似た代替素材を作った特注ソファーが左右に1脚ずつ用意され、そこに座って準備できる(これだけでもかなり特別な体験だ)。
店内にある「Apple Vision Pro エクスペリエンスルーム」。日本初となる試みで、店内とApple Vision Pro内での体験をシームレスにするために、わざわざディスプレイの角が丸められている。こう言った細かなこだわりも実にAppleらしい
Appleのデザイン部門が愛してやまない世界最高級レザーブランド「Poltrona Frau」の特注ソファー。形は違うが、Apple 本社にあるSteve Jobsシアターの前列も同社の特注チェアーになっているが、1脚200万円超とプロジェクトに関わったエンジニアが明かしている。Apple 梅田のソファーは形状が異なっているのに加え、昨今の同社が本革の利用をやめたことに伴い革に似た代替素材にしているが、それなりに高額な椅子であることは間違いない発売直後の人気製品など在庫の限られた商品では、在庫のあるタイミングでオンライン注文し、それを配送してもらうのではなく、Apple直営店に取りに行くというオンラインピックアップの仕組みを利用する人が少なくない。
とはいえ、混んでいる店舗で対応できそうな店員を探さないでもいいように、Apple 梅田ではApple Pickup専用のカウンターテーブルを用意し、手続きをより簡単にしている。
Today at Appleという毎日展開される無料講座が行われるスペース(それ以外の時間は誰もが自由に使えるテーブルやビジネス関係の相談に利用される)では、体型の違いなどに配慮して高さの異なるテーブルや椅子(スツール)を用意し、車椅子でも不自由なく通れるようにたっぷりとした通路を確保している。
テーブルの高さは約76cmと約96.5cmで、それに合わせてイタリアのCappelliniのために、デザイナーのジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)氏が作った「Morrison Stool」の48cmモデルと70cmモデルが合わせられている。
難聴者用に、周囲の騒音を取り除き話者の声だけを明確に届ける補聴器連携のヒアリングループも用意されている。専用テーブルでのセッション参加時はもちろん、店内のどこでも利用できる。
壁面に展開された、オーク材や再生木材(エクスペリエンスルーム)の内装が特徴の店舗だが、床面には従来の石材系床材に比べて環境負荷を軽減した、バイオポリマーで作られたテラゾ床を採用している。
エネルギー効率が高く、快適な環境を提供する置換換気方式の空調システムも導入済みだ。もちろん、他のAppleの施設や事業所同様に電力は全て再生可能エネルギーで賄われている。
さらに天井は、金属の利用を最小限に抑えた設計だ。天井一面にエコー(残響)などを適切にコントロールし、声を聞き取りやすくする音響バッフルボードが配置されているが、これも生物由来の素材で作られている。
複雑な店舗形状に合わせて1つ1つ長さを調整して作られている点からも、非常に手間とコストをかけた作りであることが伺える。
近年、地球温暖化の影響で熱中症対策が重視される傾向が強まっているが、店舗の奥にあるトイレの目の前に自分のボトルを持参していつでも水分補給ができる店内ウォーターサーバーも用意されている。これもApple Storeでは日本初の設備だ。
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