日本はIT分野で遅れていると、よく言われる。確かに日本には世界で成功しているアプリやサービスがあまりないし、デザイン軽視の使いにくいWebサイトが不評を買うことも多い。
しかし、実は生活をより快適で豊かにする「半デジタル半リアル」の体験作りでは、いくつか世界に誇れる事例を生み出している。例えば、多くの訪日観光客が列をなすチームラボのデジタルアート体験はその1つだろう。一方、実用性の観点では、交通系ICカードの利便性の高さは世界中の人々が感心している。
もちろん、日本にも「ダメな体験」はある。ちょっと前まで、「スマホを決済端末にタッチするだけ」という店舗決済において日本は世界をリードしていた。しかし、ちょうど世界の主要都市において「Apple Pay」「Google Pay」によるタッチ(EMVコンタクトレス)決済が広がる中、日本では決済事業に進出したい企業たちと、その動きを後押しする省庁によって、時代に逆行するバーコード/二次元コード決済が普及してしまった。今日では支払い方法が乱立して、かえって決済が複雑になるという残念な状態となっている。
だが、そんな日本がデジタルライフスタイル分野で再び世界をリードすることになる。iPhoneへの「個人番号カード(マイナンバーカード)」の搭載だ。
iPhoneのマイナンバーカードでは、プラスチックのマイナンバーカードで使える機能の一部をiPhoneの「ウォレット」アプリから呼び出して利用可能だ。具体的には以下のようなことができる。
(※1)対応状況は市区町村によって異なる
これらのうち、1と2についてはAndroidスマートフォンでは2023年5月11日から先行して対応している(参考記事)。その後に行われた法改正を受けて、iPhoneでは1と2に加えて「属性証明」とも呼ばれる3と4の機能も実装された。Androidスマホでも3と4に対応する予定だが、現時点では時期の見通しは立っていない。
iPhoneのマイナンバーカードを受け入れるに当たって、一部の店舗や行政機関では追加対応が必要となる場合もある。例えば医療機関における「マイナ保険証」としての利用は、7月から実証実験を実施した後、9月から医療機関ごとに順次対応することになる。
そのため、当面の間はiPhoneでも利用できるかどうか事前に確認すると共に、プラスチックのマイナンバーカードも一緒に持ち歩くことが推奨されている。
iPhoneのマイナンバーカードは、2026年からは確定申告にも利用できるようになる。また遠からず「マイナ免許証」の機能も利用可能になることが期待されている(時期は未定)。
iPhoneのマイナンバーカードは、iOS 18.5以降をインストール済みの「iPhone XS」「iPhone XR」以降のiPhoneで利用できる。
カード情報のインストールは「マイナポータル」アプリを使って行うが、詳しい方法はデジタル庁が用意した特設ページで確認してほしい。
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